運命のひと~forever2001

運命のひと~forever2001

ボクと彼女の記録です。

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2月25日、どうしても早く帰りたかった。


ごめんね、仕事でこんな時間に帰ってきた。


日付変わってしまったね。


キミと出逢ってから、9年が経ったね。


偶然にも夜になって降り出した雨。


あの日のように強い雨じゃないけれど、空もボク達のこと覚えてくれているのかな?


今夜の雨は静かで、まるで今のボク達のようだと思わないかい?


おやすみ、ハルカ。


ボクがとった行動を誰かが知ったなら、バカだと笑うだろう。


でも、ボクにとってハルカの言葉、行動のひとつひとつが力になった。


ハルカだけが自分が生きる術だった。


ハルカからの留守電のメッセージ以降、ボクは明るくなっていた。


会社でも、「何かいいことがあったのか?」と聞かれるくらいに。。。


あれから2週間が経ち、2月も終わりに近づいた夜のこと。


一通のメール。


「流星さん、ありがとう。助けてくれて。」


まぎれもなくハルカからのメール。


よかった、信じて。安心感から、ひとりでにやついていた。


「元気でよかった。今、どこにいるの?」


「両親と一緒に駅前のホテルに。」


「よかった。ご両親が迎えに来てくれたんだ?」


「そう、でも救ってくれたのは紛れもなく流星さんよ。」


「ほんとによかった、ほんとに。」


「ありがとう、今から両親と食事にいくから後でメールするね。」


「うん、でもメールなくてもいいよ。ゆっくり休んで!」


これは夢なのか?いや、事実に間違いなかった。


ボクは初めて、生きていてよかったと思った。


2時間後、ハルカからメールがあった。


「流星さん、お金返したいの。」


「ん?」


「送ってくれたでしょ、お金。ちゃんとあるから。」


「いいよ。ハルカが無事だったんだから。」


「よくない、示談金は両親が払ったから。これからアタシも働いて両親には返していく。」


こんなカンジで結局、ハルカと延々2時間近くメールで話しをしていた。


「ハルカ、おやすみ。また明日。」


「おやすみ流星さん、また明日。」


3ケ月ぶりの「おやすみ」。いや、こんな幸せな「おやすみ」は、もっと久しぶりかもしれない。


お互いにそう思いながら別々の場所で、互いを近くに感じながら眠りについた。





それから数日後、ハルカの姉から留守電にメッセージがあった。


「ハルカと電話したけど、あなたの言う通りだった。親に相談するかちょっと考えてみる。」


ボクは安心した。


ハルカが助かるかも知れない。


翌日、仕事を終えて帰る際に非通知で着信があった。


そして留守電になつかしい声が。。。


「もしもしお姉ちゃん、ハルカです。アタシは元気だから心配しないでね。」


おそらくデリヘルのオーナーの前で電話させられているのだろう。


でも、ボクへのメッセージだと分かった。


自然に涙が出た。


自宅への車中、涙が止まらなかった。


数日が経過したが、ハルカの姉からも連絡は無かった。


ボクは貯金通帳を確認した。


今、何とか使えるのは40万円。


そして、ハルカの姉のふりをして手紙を書いた。


「ハルカへ


元気ですか?お姉ちゃんは元気です。少しでもハルカの足しになればと思って


お金を送ります。


帰ってこれるようになったら、連絡してね。」


ハルカの住所は分からないが、ボクと一緒に住んでたココに送れば


ハルカの元に届くだろう。


そしてポストに投函した。


一種の賭けだった、ハルカでは無く別の人間がこの手紙を見たなら


お金はハルカの元に届かないだろう。


この時ばかりは、神様に願いをこめた。


想いはきっと通じる、そう信じるしかなかった。