悴む手を握り締め確認してる
慣れ親しむ憩いにこびりつく
綺麗事が苦手な俺にそれは
秘めた意向さえ委ねたままで

身動き取れずに歩き方も忘れ
我が物顔で振る舞っている
借り物にすぎない御伽噺さえ
想像に容易い俺が水を差そう

どれだけ胸を痛め愛を信じた
現実だけが無情に横たわる
どれだけ着飾る君とすれ違う
求められた手を握り返せずに

危険冒さず転換だけが増して
肩身を狭くする己は椅子の上
見当違いの自意識過剰に溺れ
刺さる筈もない矢を空振る

意思に反して操作される人波
彼に降りかかった不幸さえ
街そのものが言葉を発する
彼女が涙ぐむその理由さえも

製造されたかの様な普遍性は
自我を殺してまで馴れ合う
好まれる傷の舐め合いなんて
とても真似できそうになくて

深淵より操るその青い糸を
掻い潜る手段を覚えない人々
もう涙は流れない俺だから
茶番に挫ける君を増やせない

どれだけ胸を痛め愛を信じた
現実だけが無情に横たわる
どれだけ着飾る君とすれ違う
求められた手を握り返せずに