少年院の先生の言葉が今となって…
張りつめた糸は切れやすい
この言葉は、私が少年院に入って2週間ほど経過した時に先生から言われた言葉です。
私は、自分で言うのも何ですが、少年院ではものすごく真面目な方でした。
先生からよく「猫をかぶっている」、「自分を見せてみろ」とよく言われていたものですが、今振り返ると猫はかぶっているつもりはなかったけれど、私がもっと向き合わなければいけない問題点ではあったのかなと思います。
先述した先生からの言葉を言われた時も、少年院に入って2週間ほどだったため、特に気合いを入れて生活していた時期でした。
社会と少年院では環境がだいぶ違い、いきなり環境が良くなった状態で私は、この環境の中での優等生になってやろうと思っていました。
ですが、根本的な私の価値観や意義は、何も変わっていません。
社会での私の環境は、悪友たちばかりが周りにいて、その環境の中での優等生とは、非行を繰り返すことだったからです。
環境で変わる価値
非行をしなければ、私の価値はない。
少年院の先生にいい成績をつけてもらわなければ、私の価値はない。
そうやって、その時そこで置かれている環境で優等生になる事で、私は私の価値を自分で保っていたのです。
優等生じゃない自分を見せることは、相手が離れていくかもしれないという不安があり、自分で自分を認められないという怖さがありました。
ですが、その問題点が自分の心を張りつめさせ、環境が変わった途端に糸が切れ、何度も逮捕を繰り返す要因のひとつになっていたのではないかと、今は思います。
ブログ再開の理由
ここまで自己紹介もなく書き始めてしまいましたが、私は以前、Twitterやブログにて自分の過去や現在について投稿をしていました。
先述している内容のように、自分が少年院に入っていた時の話や非行をしている時の話、非行をやめてからの話など、自分の人生と向き合っていくために、ブログを活用していました。
ですが、Twitterやブログを書いていくうちに、自分が今向き合いたい事とブログの流れの中で書かなければいけない事との齟齬が生じ、義務的に書いていると感じる場面が増えていきました。
義務や自己満で書いてしまったら、本来の目的である自分と向き合う事はできません。
そして、真面目に真面目なことだけを書いていた事もあり、いつの間にか張りつめていた糸が切れ、Twitterもブログも突然やめる気になってしまいました。
それから日が経ち、私の気持ちや生活も落ち着いてきた事もあり、今回もう一度ブログを始める事にしたので、まずは自己紹介からしたいと思います。
自己紹介
私は現在24歳、広島在住、職業介護士です。
私は、元非行少年です。
12歳の頃から非行に走り始め、14歳の時に初めて保護観察が付き、15歳で1回目の少年院に送致されました。
その後、17歳の時に2回目の少年院送致、19歳の時に特別少年院に送致されました。
少年院に入り半年ほど生活した後、住居侵入罪・窃盗罪の罪で再逮捕され、裁判で2年6月の判決を受け、少年刑務所に収監されました。
少年刑務所で刑期を終えて出所した後は、地元に戻ってしばらく真面目に生活をしていましたが、昔の仲間との付き合いが中々切れず、以前の生活に戻りつつありました。
これまでの私だったら、その流れに身を任せていたと思います。
ですが、刑務所に入った時に自分の成れの果てを見てしまったことで、もうこれまでの生活には戻りたくないと心底思っていました。
そこで私は、生まれてから21年間過ごしてきた地元を離れる決意を固め、知り合いが1人もいない広島の地に越してきました。
地元を出た後の私
広島にきてからは、今まで全くした事のなかった介護職の仕事につきました。
これまでの私は、ろくに仕事もしてこず、始めたとしても周りがやっている建設系の仕事を始めて3日で辞める、そんな状態でした。
ですので、いざ広島にきて仕事を始めるとなった時も、「学歴もないし、現場しかないか」と思いこんでいました。
しかしある時、自分が広島へ行くきっかけをくれた方に相談をした所、「介護の仕事をやってみてはどうか」「派遣で資格を取りながら働ける」とアドバイスをいただき、私自身も人生の中での祖母の存在の大きさを感じていたので、介護の仕事を始めてみることにしました。
介護の仕事を始めて、職場での人間関係や利用者さんとの関わり方など、色々と苦戦する事はありました。
ですが、それ以上に自分が必要とされる体験やしたこと以上の感謝をいただける体験ができた事で、少しずつ私は私の人生を肯定できるようになり、温かい居場所の大切さを知ることができました。
広島にきて、地に落ちていた自己肯定感を、介護の仕事によって私は少しずつ取り戻すことができました。
現在の状況と目標
広島にきてから2年ほど経過した現在は、介護の仕事を続けながら、非行に走ってしまった少年に関わる活動を少しずつ始めています。
こんな私が非行少年に関わるなんてと思う方もいるかもしれませんが、私は私だからこそ非行少年に対してできる事があると思いますし、
非行少年の気持ちがわかるというのは、人に関わる上でとても大事な事だと思っています。
そして、関わるといっても一方的な関わりではなく、私が学ばさせられる場面や過去の解決に繋がる場面など、お互いが成長に繋がるような自助・共助の関係で関わり合いを持っています。
そうやって、みんなで助け合いながら、前向きに少年院出院者の仲間を増やしていく。
そのような、再非行を防止していく輪を、今後広げていく事が私の現在の目標です。
さらけ出せない人の末路
話を本題に戻します。
最初にお話しをしたように、私は自分をさらけ出すことが苦手で、無理しているつもりはないのに、知らず知らずのうちに精神が張りつめてしまっていたという事がよくあります。
私みたいに、自分をさらけ出せない人や猫を被っているように見えてしまう人というのは、私以外にも結構いるのではないかと思います。
私を含め、そのような人たちの末路とは、
突然緊張が切れてしまい、休むのではなく手放すことで自分を保つ。
人に相談するのではなく、人から離れることで自分を保つ。
ような気がします。
さらけ出して相談をすれば救われるかもしれないのに、離れていくかもしれないという恐怖や自分の醜さと向き合うことができないという弱さから逃げてしまい、なかった事にすることでしか救うことができません。
ですが、人生にはリセットボタンはないですし、あった事をなかった事にはできません。
ゼロからプラスにしていく作業だけでなく、マイナスからゼロに戻す作業もしていかなければ、前には進めません。
だからこそ私は今後、自分のマイナス面からも逃げずに自分と向き合い、良い面も悪い面もさらけ出していく事で人と向き合い、自分の成長に繋げていきたいと思っています。