イスラエル旅行2日目。
なるべく早く起きてエルサレムに行く予定が、私もミコラ君も9時過ぎに起床。
初日から、不思議なくらいワクワクするエンジンがかかりません。
テルアビブからエルサレムまではバスで小一時間とのことで、近くのバスターミナルへと徒歩で向かいました。
ミコラ君の事前情報通り
“ウクライナ級に胸がふさがる位ぼろい”
ターミナルでした。
ほんとに都会的な建物ってイスラエルに存在するの?
というのが、旅の前半ずっと感じていた、私のイスラエルに対する疑問でした。
イスラエル行のバスは20分に1本位走っていて、ドライバーからチケットを買うシステム。
おしゃべりをしている間に到着し、まずはマハネ・イェフーダ市場を目指します。
エルサレム市内には真新しいトラムが通っているのですが、チケットを買うシステムはまったくもって近代的ではなく、
たった2台しかない使い勝手の悪い券売機で紙のチケットを買わなければなりません。
「ユダヤ人は頭がいいはずなのに、このシステムはなんでこんなに発展してないんだろう。」
とぼやくミコラ君。
私は期待してない分、腹も立ちません。
マハネ・イェフーダ市場は入口は、例にもれずしょぼいのですが、中はアーケードになっていて、
小さなお店がひしめいていました。
店員さんが(多分)
「らっしゃいらっしゃい、安いよ安いよ~」
と大声で客引きをしているにぎやかな市場です。
ミコラ君の説明によると、この時期はユダヤ教のクリスマスにあたるハヌカという祝日期間らしく、
市場内のパン屋さんでは、ハヌカに食べる代表的なお菓子のスフガニアという
カスタードドーナツのようなパンが売られていました。
(でもこれ、クロアチアで私がよく食べてた菓子パンとほぼ一緒っぽいなぁ)
お腹がペコペコだった私は、この市場に一歩入った瞬間から、ミコラ君に空腹を訴え続けていたので、
ミコラ君の最初の滞在先のアパートオーナーさんが勧めてくれたという
市場内にあるレストランでブランチを取ることにしました。
物価が高いイスラエルでは、ブレックファーストセットを頼むとお得という情報をネット上で拾っていたので、
サラダ(タヒニという白ごまペーストのソースがたっぷりかかってました)
&シャクシュカ(トマト、パプリカ、玉ねぎ等でつくったソースに卵を入れてオーブンで焼いたイスラエルの代表的な料理)
&パン&コーヒーで1500円位の朝食セットに加え、
ナスのタヒニソースのオーブン焼きとファラフェル(そら豆のコロッケ)がトッピングされたフムス(ひよこ豆のペースト)
も注文したらすごい量になってしまいました。
注文した料理全てがベジタリアンフードでイスラエルは豆や野菜の料理が本当に充実しています。
そら豆やひよこ豆、ゴマなどが主な材料なので適度に食べ応えがあり、満足度の高い料理でした。
ただ、ここで食べた料理が私がイスラエルで健全な食欲を持って、楽しくおいしく食べた最初で最後の食事になるとは、
この時は思いもよりませんでした。
ミコラ君は食事中からレストランの向かい側にあったお店で売られていたキッパというユダヤ教の男性が
頭の上にちょこんとのせている帽子をチェックしていて、市場でまずミコラ君のキッパを選ぶことになりました。
柄や素材に相当バリエーションがあり、本物のユダヤ教の家族がキッパを購入している隣で
果敢にもミコラ君が頭の上に代わる代わるキッパを乗せては、私に感想を求めてくるのですが、
正直よくわからない…
大差ないよ。
ただ、市場で売られていたこのキッパはお値段300円ほどで、使う機会はないだろうけどイスラエルらしい、
いいお土産だなぁとは思いました。
ミコラ君が解説していた通り、ほとんどの宗教では女性の服装に決まりが多いのに対して、
ユダヤ教ではキッパや腰ひもみたいなものの着用は男性に限られていて、面白い。
キッパ購入で火がついたのか、ミコラ君は姪っ子たちへのお土産ということで、大量のドライフルーツ、
イスラエルの地図、そしてレプリカと思われるメノーラと呼ばれるユダヤ教のシンボルの燭台まで買っていました。
どんだけイスラエルのこと好きなんだ、この人。
市場見学後に向かったのは、嘆きの壁や生墳墓教会や岩のドームがある旧市街。
さすがに、旧市街の景色は異文化や異時代に迷い込んだ気になり、テンションが上がります。
ミコラ君のお母さんとお婆さんは熱心なキリスト教徒らしく、ミコラ君がイスラエルに行くと告げると、
“聖なる土”をお土産にリクエストしたそうです。
「何それ?」と訊くと、
「いや、僕もよくわかりません。」とのこと。
イスラエルにある普通の土じゃダメなんでしょうか。
何をもって「聖なる」となるのかな。
私の家族は面倒くささに関して言えば、かなりレベル高いとは思うのだけれど、
お土産に関しては「土産物に旨いものなし」が家訓のため、期待されたことも頼まれることもありません。
ミコラ君は実態がよくわからないものをお土産に頼まれてなんだか憂鬱そうです。
エルサレムは三大宗教の聖地があることで有名ですが、まずはその中でも特に知名度の高い
嘆きの壁に行ってみることにしました。
イスラエルでは至る所で荷物の検査が行われるので面倒は面倒なんですが、このように有名な場所であっても
入場無料であるところは太っ腹というか、唯一私が感じた、いいところです。
嘆きの壁は、ほとんど凍りかけている私の心も圧倒するくらいの存在感で、何よりも聖書に顔をうずめ、
本当に長い時間をかけ切実にお祈りをしている人たちの姿は心を打つものがありました。
自分の願いを書いた紙を、嘆きの壁の岩の隙間に挟むとその願いが叶うと教えてもらったので、
もちろん「素晴らしい家族を作れるように」と毎年、初詣でお願いしていることを、ユダヤ教の神様にも頼もうと
書きしたためていたのですが、あまりの信者の方の熱心なお祈りの様子に圧巻され、
こんな紙おいてくるのやめようかなぁと、一瞬悩みました。
結局、邪魔にならないようにそっと置いてきました。
嘆きの壁から歩いてすぐのところに、キリスト教の聖地である生墳墓教会があります。
ここも本当に見どころのある教会で、ミコラ君の説明によると、キリスト教でも色々な宗派がここを聖地としているため、
ミサや縄張り等いろいろ複雑だそうです。
なんか生々しいですね。
キリストが十字架にかけられた後に安置された石を見学できるというのが、この教会のハイライトとのことで、
修復中の足場をくぐりながら、その墳墓を触ってきました。
久しぶりに歴史的な教会に入ったこともあり、聖油の香りや大理石の柱、揺らめくキャンドルの光の雰囲気も相まって
私なりに神聖な気持ちになりました。
教会を出て、聖油の香りが気に入ったというミコラ君がお土産屋さんを物色していると、
な、な、なんと聖なる土を発見!
土だけじゃなく、水とオイルの三点セットで売られている!
お値段450円で、お手頃!
よかった、ここで見つからなかったら、二人で滞在しているアパートの裏手にあった土を集めて
ウクライナまで運ぶことになってました。
気分も軽くなり、最後にイスラム教の聖地岩のドームに行こうとしたのですが、
近くに見えてはいるものの、どこから入ればいいのかわからず、ネットで調べたところ、
こちらは異教徒への一般公開の時間がかなり制限されていて、もうとっくに終わっていることがわかりました。
そんなこんなで旧市街の見学を終えて、また市場方面に歩いて戻っていると、ウルトラオーソドックスの人たちが
音楽をかけて、踊っている場面に出くわしました。
この人たち、働かずに国からお金を受けているらしく、一人でいる人とベビーカーを押しながら家族でうろうろしている人と
同じ割合でエルサレムではよく遭遇しました。
こんなにゴロゴロいるウルトラオーソドックスを養っているイスラエルって国は、本当に不思議です。
それにしてもずっと豆の味がするげっぷが出てお腹がちっともすかなくてつまんない。
これいつ止まるのかな。
続きます