小児の看護師 ゆきえです


持病がありながらも、定期受診だけで自宅で過ごしているお子さんでも、急な体調の変化から病状が悪化して自宅で医療処置を必要とする状態になることがあります。
その場合、一端入院してママやパパに医療処置の手技を覚えてもらうことで、自宅で過ごせるようにと準備していきます。

その際、看護師はママ、パパの面会に合わせて処置を実践してもらうためのスケジュールを組んでいきます。



ここで、病状の変化を受け入れられなければ、手技の実践をする前にママやパパの病状の受け入れ状況を確認して受け入れられるようになってから実践をしてもらうようにしていきます。
そして、手技の練習をしながらも気持ちが続いているかを確認していくように注意します。

でも、最初にママやパパが前向きに頑張ろうとしてくれていたり、手技が割とスムーズに覚えてくれてできてしまうと、ついつい頑張れていることを認めるあまりにママの気持ちの変化に気づきにくいことがあります。


病院の中で看護師などが横にいる状態で医療行為を行うことは、ドキドキしながらもやれたりするんですけど、実際に自宅に帰ってから行うのは、ママ、パパなので、自宅に帰ることを考えると・・・無理無理って思うんですよね。
でも、練習していくとできるので、「これだけできれば大丈夫ですよ!」とか言われちゃう。
「何かあれば、いつでも病院に電話して大丈夫ですよ」
「不安だったらいつでも受診できるので、安心してください」とか言って、気持ちに寄り添ってるつもりになってしまう・・・
実際、私も若かりし頃はそうやって励ましてるつもりになっていました
でも、それって励ましてるように聞こえるかもしれないし、不安を軽減する言葉になっているように見えるかもしれないけど、実は一方通行でママの気持ちを表出できるように関わってる訳ではないんですよね。
病院の人に大丈夫って言われたし・・・とか、自分に言い聞かせることはできるかもしれないけど、結局不安や心配事に蓋をしてしまう事になるんですよね。

設備や人員の整っている病院だとご家族に対しても臨床心理士という心のサポートをするスタッフが介入してくれてママパパの気持ちのフォローをしてくれるところのあるのですが、そういうフォローができない病院だと、ちょっとした心の変化や不安にトコトンまで寄り添ってゆっくりスケジュールを組み直して退院や在宅に向けてフォローできるかというと、やはり難しいの気現状です

なので、もし少しでも不安が残るときは、たとえ医療行為の手技がうまくできて大丈夫と言われていても、

今、何が不安なのか
どんなことが怖いと感じてしまうのか

などを包み隠さず、スタッフに話してみましょう。
本当、細かいことでもいいんです。

家に連れてかえるのがやっぱり怖くなってしまった・・・

などでも全然大丈夫です

だって、気持ちなんて日々変わるものだし、自分の子供なのに連れてかえるのが怖いと思うなんて・・・と気持ちを否定しなくていいんです



少しの時間でもいいので、ママやパパの気持ちを聞いてもらえる時間を作ってもらってください。
がっつり話したいときは、そういう時間をきちんと作ってくれるので、その時間で思いっきり気持ちのたけを伝えてください。

忙しそうだし、そんな時間を作ってもらうのが・・・と思う必要なんてありませんよ!
それでも、言いにくいときは、手技の練習を思い切ってやめたいと伝えちゃってもいいんです。

私たちは、入院したお子さんは自宅に帰れる状態になったら自宅に帰るのが一番だと思って仕事をしてますが、それを受け入れるママパパがいい状態で帰れることが大前提なんです。
なので、受け入れが強かったら言わないと、自宅に帰ってから頑張ろうと思っても辛いし、手技も戸惑いながらやるようになることは私達も望んでいることではないんです
子供のために、ママが・・パパが・・頑張りすぎても後から家族のじょうたいが危険になってしまってはいけませんよね。

お子さんのために頑張ることはもちろん必要かもしれませんが、その前に自分の気持ちをしっかり保てるように、少しの不安でもいいので、話してくださいね。