津波警報の伝え方について思うこと | ❁宮城のパーソナリティ阿部紗織のブログ❁

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昨日朝、福島県沖を震源とするマグニチュード7.4の地震が発生しました。

 

宮城県には津波注意報が発令され、

その後警報に引き上げられました。

 

皆さん、大丈夫でしたか?

 

あの責め立てるようなサイレンの音を聞くだけで、

心臓をギュッとつかまれたみたいに

嫌な感覚が込みあがってきます。

 

沿岸部の皆さんは、本当に不安だったことと思います。

 

今日は、ゆっくりあったかいお風呂に浸かって

少しでも落ち着きたいですね。

 

私は、普段務めている女川の会社から連絡があり

警報がすべて解除になるまで自宅待機ということで

ラジオやテレビの情報を注意深く聞いていました。

 

テレビの画面には、

 

津波!すぐ逃げて!

 

など、大きな赤い文字が書かれていて

東日本大震災の教訓から

強く避難を呼び掛けていることが伝わってきました。

 

注意を呼び掛けるアナウンサーの声も

鬼気迫る口調で緊迫した雰囲気でした。

 

教訓を活かすということは今後の災害に備えて

大切なことだと思います。

 

…ただ、1つ。

 

これだけは聞きたくなかったアナウンスがありました。

 

 

『東日本大震災を思い出してください』

 

 

全ての人に迅速な避難を呼び掛けたいのは、

とても伝わってきます。

 

でも、東日本大震災を実際に経験した私は

この言葉を聞いたとき、

心が…えぐられるような思いでした。

 

忘れるわけないじゃないですか。

 

思い出さないわけないじゃないですか。

 

忘れようと思っても、体があの恐怖を覚えています。

 

それをわざわざ、掘り起こすような言葉は

凶器にも感じました。

 

人命第一の判断だということは理解できます。

 

東日本大震災のあの日、

もっと強い口調で避難を促していれば助けられた命があったかもしれない。

 

冷静な口調での放送では、人々は避難しないかもしれない。

 

だからといって、実際に震災を経験した被災地の人々に語り掛ける言葉としては

あまりにも心無い言葉ではないかと感じました。

 

めったに地震の起こらない地域で津波警報が出たならば、

この表現は有効かもしれません。

 

私は

『東日本大震災を思い出してください』と繰り返す放送に耐えられず

他局の放送に切り替えました。

 

私がもし、ラジオを通してこの言葉を言わなければいけなかったら…

アナウンサー失格ですが、言えません。

 

 

ラジオ石巻に周波数を合わせると

耳馴染みのある声が

落ち着いた声で石巻地域の詳しい情報を伝えていました。

 

大きなメディアと現地との温度差を感じました。

 

皆さんはどのように感じていたでしょうか?

 

 

そして、今回の津波警報で思ったことがもう一つ。

 

警報が出ているのに、

通常通り出勤して下さいという企業が多いこと。

 

今回は早朝の警報で出勤前の方が多くいたと思いますが

自宅待機となった企業と、通常出勤の企業と大きく分かれました。

 

個人の意識も大切ですが、

企業の災害に対しての意識は

共通の基準を持って高めていかないといけない課題だと思います。

 

今回は大きな被害にならなかったからよかったものの

仕事だからと、警報が出る中沿岸部に向かって車を走らせなければいけない

家族を見送ることは心苦しいです。

 

人命を第一に考えるのならば

変えなければいけないのはこういった体制からではないかと感じました。