こんにちは😊
不思議なご縁の絵があります。
ルネサンス期のイタリアの絵で、描かれているのはミラノ公妃ベアトリーチェ・デステ。レオナルド・ダヴィンチに最後の晩餐の絵を依頼したミラノ公ルドヴィコ・スフォルツァ(馴染みのない名前ですが)の妻。
ダヴィンチの作品ではと言われていた事もあるそうですが、作者不詳となっています。
見たことあるでしょうか?22歳で亡くなっているので、それより若い肖像ですが、深い落ち着きを感じます。真珠も素敵で一目で好きになりました。
この絵との出会いは、心理学者の河合隼雄先生が、素晴らしい作品と推していた児童文学『ジョコンダ夫人の肖像』の中にベアトリーチェが登場していた事です。
なぜ不思議なご縁かと言うと、この絵を知ってからまもなく、イタリアにあるこの絵が東京の国立西洋美術館に来たからです!
ダヴィンチ展で、一番の目玉はダヴィンチ作の「音楽家の肖像」でしたが、私はさらっと一回りしたあと、ベアトリーチェの絵の前に長い事居続けました。とても小さな作品でした。まさかこんなにすぐに会えるとは。一生、本物を見る事はないと思っていました。
物語の中のベアトリーチェは色の黒い不美人という設定ですが、肖像を見るととても美しい人だと思いました。
ストーリーは実在したダヴィンチの弟子サライを通して、モナリザは誰?の謎を解くというものです。
サライは10歳でダヴィンチの弟子になった美少年ですが、大人になっても嘘つきで泥棒。それでも生涯ダヴィンチに愛されました。同性愛だったのではとも言われています。
ダヴィンチとサライ(愛称)
まだ子供のサライはダヴィンチのパトロンであるミラノ公の妻ベアトリーチェを見て、色が黒くてちんちくりんで、公妃なのにみっともないや、との印象を持ちます。
ミラノ公には結婚前からミラノで一番美人と言われる愛人チェチリアがいて、結婚当初はベアトリーチェに関心がありませんでした。政略結婚ですが、本当は才色兼備で評判のベアトリーチェの姉、イザベラ・デステと結婚したかったという設定です。
サライはベアトリーチェの人柄にどんどん惹かれていきます。夫、ミラノ公もそうでした。ベアトリーチェの内面から涌き出る美しさに魅了されていったのでした。
ベアトリーチェはお産がきっかけで22歳の若さで亡くなります。それからのサライは心にぽっかり穴が空いた状態で生きていきます。
そして長い年月が経ち、ある日ダヴィンチの工房に裕福な商人が訪ねてきて、ダヴィンチに妻の肖像画を頼みたいと言います。
応対したサライは、世間知らずな人もいるものだと呆れます。
「沢山の王族や貴族が先生に肖像画を描いてほしくて何年も待ってるんですよ」
裕福とはいえ、商人ごときが絵を依頼するなんて、と当然断るつもりでいました。
そこへ商人の妻が現れます。
「私の妻、マダム・ジョコンダです」
若くもなく、ぱっと目をひく美人でもないその女性を見てサライは息が止まります。
ベアトリーチェだ。ベアトリーチェが生きていて歳をとったらこうなっていただろう姿だ。
内面から出る美しさ。
「主人は喜んで絵を描くでしょう」
ダヴィンチに確認することもなくサライはその仕事を引き受けたのでした。
それがモナリザというお話でした😊
登場人物は実在した人ばかりですが、もちろん創作のお話です。
史実はベアトリーチェはやはり22歳の若さで亡くなっています。しかし案外強い女性だったようで、結婚後も夫がチェチリア(フェレット抱いてる人)と会っていると知り、二人を別れさせてチェチリアを地方の貴族と結婚させます。
長年連れ添った古女房ではなくこの若さでです。
あの絵から想像できない。そういえば
ダヴィンチ作の有名なこの絵『ミラノの貴婦人の肖像』
モデルは誰か?の一人にベアトリーチェが挙げられていたそうです。現在はミラノ公の別の愛人が有力とのこと。
結局、誰がモデルかって推測でしかないけど、この女性の絵、怖いんですけど。何か訳ありの人ですか?と思ってしまいます。
もしこの絵の人物がベアトリーチェだとしたら……夫の愛人を嫁がせた話も想像つきます。
この表情で「まだあの女と別れてなかったの?」って。プルプル😰私はこちらの絵がベアトリーチェではと思えてきました。
余談、ダヴィンチは30歳頃ミラノに移り住み、自分からミラノ公に売り込んで雇ってもらったのだそうです。
戦力の面で役に立てます
そちらが暇な時には絵や彫刻もできます。(おまけ?)
多才なダヴィンチは自分のこれまでの功績や即戦力になることを長い手紙(職務経歴書)に書いて就活したのでした。これがあの最後の晩餐につながったのですね。
天才の普通っぽい一面、新鮮です。食べていかないとね😅
冒頭の絵と物語をきっかけにちょっとだけダヴィンチに関心を持ったのでした。
お付き合いくださった方、ありがとうございました😃