忘れないように、ここに記そうと思います。


何年前になるのかな?

長女が確か…21歳。


あれは、

義理の母の一周忌の日でした。

夜になって長女が仕事から帰って来たんです。


「お母さん、ディズニーのお土産、おばあちゃん(私の母)に渡してくれた?」

私の顔をみるなり、彼女はそう言いました。


私は、一周忌に参ってくれた母に、置いてあった所からちゃんとお土産を手渡してました。


そしたら、彼女が豹変しました。


「お母さん‼️なんて事したの💢!お母さんがおばあちゃんに渡したのは、お友達に渡すお土産やんかー💢」


私は、大変なことをしたと思って、すぐに謝罪しました。

そこには、確か…2つのお土産があって、どちらを渡せばいいのか、悩んだのでした。


「わからなかったら、聞いてくれたらいいのにー💢」


そもそも、どちらかわからないのであれば、渡すべきではなかった。と言うのです。

ごもっともです。

でももう、渡してしまったのだから、仕方がありません。

どうしたらいいか、考えようとしましたが、

彼女はもう、投げやりで、私のことを責め続けました。


そのやりとりを

隣の部屋で夫が聞いてました。


夫は、

『お母さんにその口の聞き方はなんだ‼️

お前が間違われないようにするべきではなかったのか?

お母さんに謝れ!』

と怒鳴りました。


彼女は、謝りませんでした。

その上さらに夫に反論しました。

「じゃあ、お父さんは、どうなのよー!

お父さんだって、お母さんに辛い思いばかりさせて。

お母さんだって、いっぱい我慢してるんやから。

ねぇ、お母さん?」











私は、夫の不満を長女に話していたことを後悔しました。



仕事につかない夫。

夢ばかり追いかけて、家族を養うことはそっちのけ。

誰かに聞いてもらわないと、ノイローゼになりそうでした。

でも、長女に愚痴るのは愚かでした。






「そうやんなー、お母さん!」


彼女は、私に同意を求めて来ましたが、

私は、普段から夫に恐怖を抱いていたせいもあり、

娘の問いかけに、頷く事はしませんでした。








深夜の居間で、立ったまま、夫と娘が言い争うのを

どんな気持ちで見ていたのか、今でも、耳を塞ぎたくなります。

私は、全てが自分のせいだと感じてました。




やがて夫は娘に言いました。


この家は、俺の家だから、あなたはどうぞ出ていって下さい。







その夜、部屋で泣きながら荷造りをしている娘の姿が、忘れられません。

出ていかないでほしいと説得したのに、

次の日の朝、5時半に起きたときには、

娘の姿はどこにもなく、

家を出て行ったんだという事実だけが残されていました。

私は、母親失格だと思いました。


当時、小学3年生の妹が、今度お姉ちゃんに鉛筆を買ってもらうという約束をしていましたが、生涯果たされることはありませんでした。



夫は、一切、長女と連絡を取ることを禁止しました。引越しのあらゆることにも、手を貸すことを許しませんでした。







彼女はその後、私の母を頼って、

自分で大阪の西九条に部屋を借り、

新たな生活をスタートさせました。

その際、何かと母が力になってくれた事に感謝しても感謝しきれません。

そして、会社の人にも、いろいろお世話になったと、後になって聞いております。







2年が経とうとした頃、彼女から連絡が来ました。

お父さんとお母さんに謝りたいから、家を訪ねてもいいか?という内容でした。





それからしばらくして、

午前中に娘はひとりでやって来ました。

普段、あまり態度に出さない銀だけが、嬉しそうに迎えました。


座敷に3人で座って、誰もが無言で、

重たい空気が流れていました。

銀は、お姉ちゃんの膝から離れませんでしたが、

この状況を見て、全てを把握したんです。

膝から抜け出して、机の下を潜り抜けて、夫の正面に座りました。




そして、顔を見あげると、

右手を軽く、夫の胸の上に置きました。。。







その瞬間、空気が変わったのが、誰にでもわかりました。

それはまるで、許してあげて。と言ってるようであり、

夫は、うんうんと、涙を堪えて頷いてました。

娘は、ようやく口を開いて、

声を震わせて謝罪しました。

娘は、家を出されたことは、自分のためにしてくれたことだと、わかってくれてましたし、

夫も、わかってもらえると信じていたのでした。



帰ろうとする長女を引き止めて、

お昼ごはんを、一緒に食べてもいい?

そう、夫に聞くと、

ぜひ、そうしてあげて。と、迷わずに答えました。

わだかまりが溶けたんだと思えた瞬間でした。






昨日、大きなお腹をした長女が、家に来ました。




もうすぐたねえ。里帰りは、いつ頃になるかな?

そんな話をしながら、私は、彼女が家を出て行った日のことを思い出してました。

ずっと自分の中で、忘れようと封印して来たのですが、

もう、思い出してもいいような気がしたんです。

あれから何年経つのかな?

7年か。

こんな日が訪れるなんてね。

彼女は、お腹に手を添えて、とても穏やかに微笑んでました。








今なら、あの日起きた事の意味がわかります。

自分に起きたこと全てに感謝します。

全てのタイミングに感謝します。




アクセスありがとうございました🙇‍♀️