2018年12月に日本初の完全英語、中学生主体で運営された​TEDxイベント、TEDxGKA(ぐんま国際アカデミー)でのスピーチの日本語訳を、ご要望があり書いてみました!
映像と合わせてご覧ください。

Nendo and Being a Weirdo | Hitomi Okada | TEDxGKA
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ねんどと、違和感。

あなたはねんどで遊んだことがありますか?
ベタベタして臭いが特徴的な油ねんど?
プレイドー?
ポリマークレイ?
それとも真っ白な紙ねんど?
きっとほとんどの人が一度は遊んだことがあるでしょう。

たくさんの子どもがユーチューブやスマートフォンのゲームに興味を持つ時代に、その「大昔の必需品」がどう子どもたちを夢中にさせるかのお話をしましょう。

私は2002年から7万人以上の子どもたちに、ねんどのワークショップを開いていますが、3歳の子どもでも1時間立ち上がらずに参加しているのです。
信じられますか?

なぜ、子どもたちは集中力を保っていられるのでしょうか。
秘訣はなんでしょうか?
それは、彼らを“不思議“で“新しい世界“に誘い込んでいるからなんです。

まずひとつ。それはネーミングです。
私は16年前に“ねんドル”と名乗りました。
ねんドルとは、クレイのことを意味する日本語のねんどとアイドルを組み合わせた言葉です。
その日本語にも英語にもない響きで、目に見えないラジオに出演すると、たくさんの人たちが検索し、そして実際に個展にはそのギャラリー最高数のお客さんが集まったのです。
さらに約7年前から出演しているNHKのテレビ番組では“おねんどお姉さん”という、日本語にはないネーミングのキャラクターを演じることになり、たくさんの人々の心に引っかかることになりました。

2つ目、それは作品です。
私の作品をいくつかお見せしましょう。
これはお寿司。一貫約5ミリほどです。
どうやって作っているかというと、ひと粒ずつお米を作り、何重にも重ねてから切ってお刺身を作っているんです。
ほとんど見えませんが、ネタの下にはわさびも入っています。
作るのはすごく大変そうですよね?
でも、これを作っている間は本物のお寿司の味を感じられるし、幸せな気分になるんです。

ところでこれ、なんだと思いますか?
宇宙食です。
ものすごい本物そっくりの。
3秒で作りました。

3つ目、それはこの衣装です。
日本でもし私のような大人がこんな服を着ていたら、人々は思うでしょう。おかしくない?って。
しかし全く恥ずかしいとも感じず着ています。
これは、コスプレではありません。
私が“子どもの頃に憧れていた服”なんです。
それをまとうことによって、子どもたちとの距離はグッと縮まっているのです。

だって、子どもからの手紙には
「大きくなったらなにになりたいの?」
「なんでお化粧してるの?」
「お友達になってね!」
と書いてあるのです。
かわいいですよね?

私は着物やビジネススーツが好きですが、もしそれらを着ていたら、子どもたちが心を開くにはもっと時間が必要だったでしょう。

これらのことは、人の心を動かすのに必要な『違和感』なんです。

でも、なぜ、私が子どもたちと向き合っているかわかりますか?
子どもたちを幸せにしたいから?
それは私一人ではできないでしょう。

でも、ものを作る力、ここにない何かを想像する力を育てたら、“人を幸せにできる子どもたち”を育てることができると思うからです。
そしてその子どもたちが、また素晴らしい子どもたちを育てていけると思うからです。

周りになんて言われたって、気にすることはありません。
あなたは、これから何だって叶えていけるんですから!


岡田ひとみ