薬丸さんはよく読む作家さんです
重いけど、何回も読み直したい内容ではないけど、考えさせられる、視野を広げてくれる作品を書く方です。
普通に手に取ったはいいけど、内容的に読むのを躊躇っていました。
最初の場面で、死刑執行の際に名前を呼ばれるところがあって、この名前はこんなところで呼ばれるためにつけられたんじゃないよなぁ。と辛くなりました。
本にありがちな、リアルタイム(?)で辛い犯行が書かれていることはなく、結果は一緒でもこの方が少し気持ちが楽です。
犯行を過去としてサラッと書いてあるのにこの厚さ。
犯罪そのものではなく、心理描写やその周りのことに重きを置いてしっかり書かれていて、かなり特殊な状況の話だし、辛い内容ではありますが楽しめました。というと語弊がありますが、読書を楽しめました。
反省の色を見せない死刑囚は、周りから悪意や憎しみを向けられるから辛くないのかも。
きっと、許されて、存在を認められて、必要とされる方が、死に向かうのが辛いかも。
そんなことを思いました。
ある男の子のことを思い出してしまいました。
初めて赴任した学校は、小学校ではありましたが、かなり荒れていました。
施設が学区にあるというのもありますが、施設の子でない、ある男の子は、かなりベテランの先生でも初めてだというほど問題児でした。
施設の子を堂々と差別する。いじめる。
図書室で働く私も喧嘩を売られたり、どつかれたりしたこともありました。
ハードカバーの本を折られたのは後にも先にもこの時だけです
でもかわいいところもあったんです。
他の先生に疎まれ、嫌がられているのは感じてたと思います。
私はそれでも関わり続けようと思ってました。
襲われそうになったこともあります。
ある先生に「そんなに関わると自分の首を絞めることになるよ」と言われました。
でも、その子は父親とは血が繋がってなくて、その父と母の間に双子の妹がいて、家族4人と独りというような家庭で、家族写真はその子の顔が塗りつぶされていて。という家庭環境にありました。
だからほっとけなくて。
今ではまずいと思いますが、卒業の時に連絡先を交換しました。
誕生日が近かったので覚えていて、毎年「元気??お誕生日おめでとう!生まれてきてくれてありがとう🙌」とメールをしていました。
何年かして連絡が取れなくなりました。
そして。先日。
強盗で捕まったとテレビで報道されました。
無力だなぁ。
そんなに関わらなかったけど、その子を必要としたり、認めてあげたり、心配したり。そんな大人もいるんだよと思ってほしかった。
背負う覚悟もないのにエゴかもしれないけど。
確かに自分の首を絞めてたのかもしれません。
でもそんなことをするまでにどんなに辛い思いをしただろう、どんなにひどい仕打ちを大人からされて来たんだろうと考えると涙が出てきてしまいます。
今の学校にもいろんな事情を抱えた子がいて、全部背負うことは出来ないし、昔のように深く関わることが許されないけど、その子たちの周りにステキな大人がいますように。。そう願っています。
長くなってしまい、何の解決もなく、懺悔のような独りよがりの語りをしてしまいました。
嫌な気持ちにさせてしまったらごめんなさい。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。