【デリヘル】“普通じゃない人”のほうが、なぜか覚えている
風俗で働いていると、たくさんの人に会う。正直、全部を覚えているわけじゃない。名前も、会話も、時間も、だんだん曖昧になっていく。でも、なぜか残っている人がいる。はっきり理由があるわけじゃないのに、ふとしたときに思い出す人。そういう人って、だいたい少しだけ“ズレていた”。普通、が何かはよくわからないけど、少なくとも、すんなり収まる感じではなかった。会話のテンポが少し違ったり、距離の取り方が独特だったり。一見すると、やりにくそうに見えるタイプ。実際、他の女の子からあまり好かれていない人の話を聞くこともあった。「ちょっと難しい人でさ」とか、「合わなかった」みたいな。そういう人に当たると、少しだけ空気が変わる。どうしようかな、って一瞬考える。でも、その感じが、嫌いじゃなかった。むしろ、少し面白かった。うまくいかない前提があるぶん、どう転がすかを考える余地がある。会話を変えるのか、空気を変えるのか、少し強めに出るのか、あえて引くのか。試すことが増える。うまくハマると、さっきまでの違和感が、別のものに変わる。空気がほどける瞬間があって、そこでやっと、その人のペースが見えてくる。その流れが、少しだけ癖になる。大袈裟に言うと、そのときは、相手の満足よりも、どう転がるかのほうに意識が向いていることもあった。もちろん、結果的に楽しんでもらえたら一番いい。でも、最初からそこだけを目指しているわけでもなかった。どちらかというと、その時間をどう扱うか。自分がどこまでできるか。そっちを見ていた気がする。たぶん、そういう時間のほうが、記憶に残りやすい。無難に終わる時間より、少し引っかかりがあったほうが、あとから思い出す。うまくいったかどうかより、どうやって動いたか。その過程のほうが残る。だから、“普通にいい人”よりも、少し扱いにくい人のほうが、なぜか覚えている。また会いたいかどうかとは、少し別の話で。ただ、記憶に残る。それだけなんだけど、それがけっこう強い。いま思い返しても、名前は出てこないのに、空気だけは思い出せる人がいる。たぶん、ああいう時間を、自分なりに面白がっていたんだと思う。