Whiteday | ~ 合歓の花の開く刻 ~

~ 合歓の花の開く刻 ~

心の琴線に触れた日常への返しうた

『こんぺいとう 』


合歓木

白い星
桃色の星
黄色の星
緑の星

にぎやか
はなやか
こんぺいとう

コロコロ
コロコロ
ひしめき合って

おめでとう !
よかったね ! 

祝福の音を
細やかに響かせる



「君のこと大好き」
「君の側にいたい」


側にいたい は
叶わなかった

だけど

大好き は
叶ったね


白い星を
つまんで

口の中
放り込む

君の笑顔
甘い記憶

胸いっぱいに
ほどけていく


左のほっぺ
右のほっぺ
ころがして

目を瞑れば


君の笑顔

永遠の

「大好き」


頬を伝って
零れ落ちて

輝く星が
心に生まれた



こんぺいとう
 画像提供:無料写真素材 写真AC


本日は、ホワイトデー♪
関東は、あいにくの雨模様でしたが、女性の皆さま、素敵な一日をお過ごしでしょうか?

バレンタインに頂き物をした男性の方も、大なり小なり、本日に心を配られたことでしょう。


私が生まれて初めて、大好きな男の子に、バレンタインのチョコを贈ったのは、小学四年生の時でした。

初恋でした。


クラスメイトの男の子。
現在思い返せば、小学四年生にしては、少し大人びた男の子。

無口で読書好きで、でもサッカーが得意で、物静かなのにクラスのリーダー的存在。

休み時間になると私は、彼と話がしたくて、いつも彼の机の周りにいました。
彼の読書を、いつも邪魔してしまっていたのです(汗)

それでも彼は、嫌な顔ひとつせず読書を停めて、私のおしゃべりに耳を傾けてくれました。

時折、クラスの他の男子に、冷やかされたこともありました。

「ごめんね…。」

と、私が謝ると、彼は、

「楽しいから…別にいい。」

と、言ってくれました。


バレンタイン当日、恥ずかしさで、全身に炎が駆けめぐるような熱さを越えて、チョコを渡した私は、なんと言って、彼に差し出したのかは、憶えていません。

「ありがとう。」

と、言ってくれた彼の笑顔だけが、心に残りました。


それで、充分でした。


その年の三月、私は、隣町に引っ越すことになりました。

同じ市内だけど、学区が変わり、春休み明けには転校してしまいます。

私の「初恋」は、「よくある話」で、終わりを迎えたのでした。


三月のある日、突然、彼のお母さんから、電話がありました。

「バレンタインのお返しをしたいから、住所を教えていただけないか。」

と。


翌日の昼下がりだったか…、サッカーのユニフォーム姿の彼が、家の玄関に立っていました。

綺麗なラッピングをした小さな包みを、私に手渡して、

「お茶でも…。」

と、家にあがるよう勧める母の言葉に、

「練習の帰りで、ユニフォームが汚れているから。」

と、断りながら、無邪気な笑顔を、ペコリと下げました。


その笑顔は、
バレンタインの日に、私に見せてくれた笑顔そのままでした。

引き止めることも、できないまま、

「途中まで送る。」

という言葉も、出せないまま、

私は、その笑顔を、ただじっと見つめているだけでした。


綺麗なラッピングの包みを開けてみると、

中には、色とりどりの星のような

『こんぺいとう』

が、ひしめき合っていました。


私は、白いこんぺいとうをひとつ、口に放り込みました。

甘いこんぺいとうが、口の中でほどけていくのと同時に、涙が、あとからあとから溢れ、頬を濡らしました。


失った恋への悲しみからなのか、
応えてくれた彼の心への嬉しさなのか、


止めることのできない、その涙の意味が、
私は、わかりませんでした。




読者登録してね