返答なんていいんだ。
誰かが自分の事をわかってくれれば、必要としているとわかってくれればそれでいい。
潤のなかでなにかが変わってくれれば、と、それを思って話していた。
「ふふ、でも俺、どんな暴れ方したんだろう。
全然覚えてないや。
ただ、潤が連れていかれるって思っていたのだけは覚えてる、かな。
連れていかれちゃったら最後会えなくなっっちゃうって」
「覚えてないの?」
「うん」
「全然?」
「うん」
「すごかったの。
男の看護師さん3人がかりで落ち着いてくださいって言って身体押さえてるのにそれさえも投げ飛ばすいきいおいで『じゅんはどこだって』
結局5人がかりでベットに押さえつけられてシートベルトみたいなのとか、点滴を抜かせないようにってミトンとかつけられて。
それでも騒いでたからボク部屋の外に出されちゃったの。
しょぉくん激しいんだね」
あちゃー。
「面目無い」
「で、先生が注射してようやく暴れなくなったんだよ。
でも、ボク……嬉しかった。
ありがとう、心配してくれて。
ボクにもしょぉくんみたいに心配してくれる人がいるんだって分かったから」置かれた手を重ねた。
俺は自由なった手をじゅんのひざに重ねた。
「いつも儚くて。
弱そうに見えてが強くて。
人の世話になることを拒絶して、悲しそうな目をしてる。
そんなお前を放っておけるはずがないだろう?
何度も言ってる。
でも何度でも言ってやる。
お前が好きだよ、じゅん。
愛してるって言っても過言じゃない。
どう受け止めるかはお前次第だけど、俺はいつでも、いつなんどきでもお前を抱き締めていたいんだ。
小さなじゅんがいつも心の隅で泣いてるのも知ってる。
でもさ、じゅん、俺はお前を裏切らないよ。
ずっずっと、お前が水掻きから落ちそうなったら何度でも何度でもその手を掴むから」
そこまで言った時、じゆんの瞳から涙が溢れだした。
今まで見たことがないくらい綺麗な涙だった。