「櫻井さん!」
「なんなんですか?何で俺、拘束されているんですか?潤、潤は無事なのか?」
「櫻井さん、落ち着いてください。松本さんはご無事です。まずは、一旦落ち着いてください」
くそっ!拘束されてて動くことすらできねぇ!
ガタガタとベッドを揺らしていると、
「しょぉくん、ボクの事わかる?潤だよ、しょぉくんのお陰でほとんど怪我してないよ」
潤の顔が俺の目の前に出てきた。
確かに絆創膏をして、包帯を巻いているけれど、いつもと変わらない潤だ。
「潤」
よかった。
ほっとして身体から力が抜ける。
それを見ていた看護師は、
「先生を呼んできますから、もう少しだけ待っていてくださいね。
松本さんも、そろそろ病室へと言いたいところですが、まだいていいですよ」
「ありがとうございます!」
ペコんと頭を下げた潤。
よく見れば、潤は車椅子に乗っている。
「潤、車椅子。どうして?」
「しょぉくんがボクの下になって頭は無事だったけど、精密検査が終るまで車椅子で移動しなさいって。
もうすぐ自分の足で立てるようなるの。 しょぉくんはもう大丈夫?
ボクのせいでパニック状態でじっとしてないから拘束されちゃったけど、自分が戻れば大丈夫だって」
……そういえば、救急車で、潤と話されまいと暴れたのは何となく思えてる。その後、ずっと潤のところに行こうとしてあば……れたなぁ……。
だからこの拘束か。
「しょうがねぇなぁ、潤のことなるとなにすっかわかんねぁや」
「ん?何?」
「いや、うん、気を付けてくれよ?何個命があっても足りなくなっちゃうからさ」
ちょっと驚いた顔をして、それからはにかむように笑った潤。
この子のためなら
『おれはなんでもできるな』
そう思った瞬間だった。