「E11とー、それからQ30」
はっとした。
いつも呼ばれるのは1人だけだ。しかも聞いたことのない番号。
「へえ、おえらいさんくんのか。がんばれよE11」
下卑た声。クスクス笑い。
どうせやられることはおんなじなんだろうと、諦めた気持ちで隣の人に仕事を頼んで歩き出す。
そこに、
「何ですか?僕、なにか失敗したんですか?」
と、声が響いた。
何も知らない?
でも、列が遠ければ説明(そんなんしても仕方ないけど)何てできない。
それに、ボクにも説明何てできない。
項垂れて、その子の方を見ないようにして、ここぞとばかりの大浴場に浸かり、身体をふるわせる。
「ねえ、あの、君」
怯えている彼に、
「さからっちゃだめだよ。いくあて、ないんでしょ」
とだけ言って、絶対に手に入ることのない真っ白なシャツと黒いズボンを穿いて指示があるまで座っていた。
頭のなかを流れるのは葬送行進曲だ。
彼は、わかっているのかな。
きっと何もわかってない。
あんなことさせられるなんてこと。
言ってあげるべきかと思ったけれど、ボクには何も言えなかった。
ここにいる人は似たり寄ったり。
ここを首なれば野垂れ死にか、それとも自ら身体を内蔵を売って生きていくかだもん……。
そう、ボクは、彼を見捨てた。
それが……
「やめてっ!やめてくださいっ!いやだっぁぁぁぁぁだ!」
彼は、目の前でホテルの窓から飛んだ。
……ボクのせいだ。
だから、菩薩様も、ボクを見捨てたんだ。
おかーさんって人おとーさんって人、ボクはやっぱり悪い子でした。
ものを覚えることも良くできないし、やれって言われたこともできないし、ただ、男の人に好きにされてれば生きてけるだけ。
しょぉくんが優しかったから忘れてた。
ボクは生きる価値なんかない。
死んで当たり前。
このまま、菩薩様野手から落ちてぢごくってとこにいってずーっと苦しまなきゃなんだよね。
しょぉくん、この気持ちだけはわかるよ。
ありがとう、だいすき。