小さい頃、僕はとても貧乏だった。
家がなかったんだ。
春は山菜、夏や秋は畑のおじさんに頼んで、下に落ちて腐りかけになってしまっているトマトをもらったり果物をもらったりして飢えを凌いでいた。
小さすぎて捨てるって言うジャガイモとかの根菜を妹たちと川で洗って……悲しいけど浮浪者の人の炊いている火の中に焼べさせてもらったりもしたんだ。
小学校なんて行くお金はなかったから勉強なんかできない。
でも、ゴミ捨て場に行くとたまにオレンジ色の本とか絵も何にも書いてない本とかが結んで捨ててあったから、読み方どけおじさんたちに教えてもらって妹や弟が寝てしまってから夜月の下で読んでた。
それしかできなかったんだ。
弟と妹をもっと幸せにしてやりたかったんだ。
屋根のあるおうちのなかでごはんの心配もなく3人で暮らせるようにって。
でも、ある日変な大人が来たんだ。
ボクを見ること無く、弟と、妹をじっと見る大人。
2人は怯えて僕のシャツの後ろに頭を突っ込んだけど、その日はそれですんだけど、本当の悲しみは数日後にやってきたんだ。