「こんにちは」
「こんにちは」
「パジャマってことは入院しているの?」
「おねーさんはけんさするときの服だね。
おわったらおうちにかえれるんだ。
いいな、ボクまだにういんなの。
きょーはしょーくんもパパもおとーさんもごようじでこられないの」
「さみしいわね」
「ううん、ぴーたーのごほんあるから」
「ぴーたー?
ああ、ピーターラビットね。
でも、すごいなー英語の本」
「えへへ、よめるの。
べんきょうしたの。
そしたらぐあい悪くなっちゃってにういんになっちゃった。
いっぱい怒られたの。
ボクのからだ変だからさ」
「変?」
「うん、お手々、右胸にあてて?」
「こう?あっ!」
「びっくりした?」
「ねえ、私の右胸にも手をあてて」
「あっ!おなじ!」
おねーさんと初めて会ったのは、まだしょうくんと幸せだった時。
あの後何度か会った。
でも、いつも泣きそうな顔してた。
2、3年したら来なくなった。
「かわいいじゅんちゃん。
いっしょにがんばろうね」
そう言ってくれたのに……いなくなっちゃったんだ。
名前……教えてくれなかったまんま、いなくなっちゃった。
でも、おねーさんの代わりみたいにひがしやま先生がにしきおり先生を紹介してくれた。
とっても優しい先生だった。