「潤ごめん!すぐに朝メシ作るから」
眼が覚めたとき潤がいなくて、慌てて飛び起きリビングに走る。
「おはよーしょお。ボクねえ朝ごはん作ったのー」
え?
のんびりとした潤の声。そして食卓の上の山盛りの食糧。
「まだ、こっちが片付いてないからソファーで食べよお」
お皿の上にのっているのは一本のフランスパン。
「この辺はクリームチーズとサーモン。この辺はハム。で、ここはデザートのフルーツとジャム」
楽しそうに話す潤だけど、フランスパンのど真ん中にはにかぶりつけないですよ?
「あ、ナイフ、ナイフ。しょお、ナイフはどこぉ?」
「あ、うん」
かぶりつけって言われなくて良かった…。
結局ナイフは見つからず、パン切りの包丁は切っ先が鋭いので潤にやらせず俺が切った。
「ボクねぇハムのとこから食べる」
潤の小さな口でも食べやすいように切ったその一つを両手で持ち美味しそうに食べる。
「潤、料理できるんだな。バゲットサンドスゴい美味いよ」
「タブレットで調べたの。どれがどんな味なのかわかんなかったから。そしたらお腹すいちゃってぐーぐー鳴ったの。
火の付け方とかわかんなかったからパンに挟もうって。
ほら!しょおが前に買ってきてくれたサンドイッチこんな感じだったでしょ!」
「ああ、一緒に中庭で食べたあれか。でも、潤の作ってくれたこれのが数百倍美味いわ」
「あのね、これからはボクがご飯作る。最初のうちは失敗しちゃうかもだけどご飯の炊き方とお味噌汁の作り方、コンロに火を点ける方法教えて?」
「いいんだよ、気を使わなくてもと言いたいけどサンドイッチひとつ満足にできない俺なので、よろしくお願いします」
「はい、お願いされました」
にこーっと笑った潤は天使以外の何者でもなかった。
続