「ハッピバースデー歌おーよ。ハッピバースデーツゥーユーって!」
所狭しと並んだ料理。腕によりをかけてくれたっていうのはよくわかる。
けど、櫻井の翔氏は半信半疑な顔。俺達もどんな顔して良いもんやら対応に困っていたら、
「ごめんなさい!」
潤ちゃんがペコんって頭を下げた。
「翔くんのことキライって言ってごめんなさい。みんなとお話ししなくてごめんなさい。
ボク……おねーちゃんにはちょっと頼っちゃったけど、ボク一人だってガンバれば出来るんだよって見せたかったの 」
シュンってした顔の潤ちゃんは、
「『最近兄貴の元気がないんですけど、原因はやっぱり潤さんですか?』って上田と菊池に言われるまで気がつかなかったの。
ボク……ヤなやつなんだ。翔くんのお誕生日のお祝い……おめでとうってもっと早くからしてあげられないどころか、 うまく出来なくて、翔くんのお誕生日なんか来なきゃいいって思ったひどいやつなんだ」
ポロポロ涙を落とした。
「泣かないで、潤ちゃん」
「Jを泣かせようとした訳じゃないんです。ただちょっと……ね」
「ごめんなぁ。しかも一人でこれだけ料理用意するの大変だったろ」
三人で謝るのに翔ちゃんは何にも言わない。お、怒ってる?
「しょおくん……」
潤ちゃんもとてもとても不安気な顔。
ドアの所で佇んでいた翔ちゃんはツカツカと潤ちゃんのそばに行き、その前に座って抱き付いた。
「嫌われちゃったのかと思った」
「キライくない!キライくないよ!大好きだよっ!」
「よかったぁ……」
なんか頬なんか染めて、翔ちゃんおじさんモードから何モードですか?
潤ちゃんの髪を引っ張ったり、潤の顔にスリスリしたり、それはもうこっちが恥ずかしくなるくらい潤ちゃんに触りまくる。
「も、もうっ!翔くん早く王様席に座ってよっ!最初にシャンパン飲もう!!」
今日は翔ちゃんのお誕生日だからこれくらいは許してあげるか。
そして俺等はワイワイと翔ちゃんの誕生日の祝いをしはじめた。
トローンと潤ちゃんの目が弛み出した頃、翔ちゃんは潤ちゃんを抱えたまま核心に迫る。
「ね、何作ったの?見せて欲しいな。
みんなのぶんもあるんでしょ?一個は俺の誕生日プレゼントだって思って良いのかな?」
「ん……一個しかできなかったの。みんなにワケワケできないの。だから……翔くんのおたんじょびのプレゼントとみんなへのプレゼンドが一緒になっちゃったの……。
見ても笑わないでね」
そう言って奥の部屋から出してきたのは手のひらに隠れるほどの物。
「これ、なんだけどね?」
「マジか」
「J……」
「潤ちゃん」
「潤、すげぇ」
すごいよ。あんなに不器用なカマキリ作っちゃった潤ちゃんがこんなの作るなんて、めちゃめちゃ頑張ったんだね。
鼻がつーんとして溢れる涙を止めらんなかった俺は潤ちゃんを抱き締める。すぐにみんなも潤ちゃんに手を伸ばす。
キラキラキラ。
今日は翔ちゃんの誕生日だけどみんなが潤ちゃんの愛情をもらえた。
キラキラキラ。
潤ちゃんの笑顔が輝いてる。
キラキラキラ。
翔ちゃんも嬉しそう。
ごめんね、翔ちゃんの誕生日に意地悪して。もうしな……んー、そもそもは、翔ちゃんが潤ちゃんを独り占めにしたのがいけないんだよね……。
まあ、ゆるしちゃるかっ!くふふふ。
翔ちゃんお誕生日おめでとうございます!
でも、潤ちゃんは渡さないゾッ!
こっそり見せてあげるね。潤ちゃんの力作。
ファイトソング…お・し・ま・い❤💜💚💛💙