雨の足跡32【甘いコーヒーの香り】 | ビールと猫'sと嵐さんと(注・BL)

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嵐が大好物
J担 翔潤loverですが、櫻葉&大宮何でもアリです(妄想、腐ってます)

人の勧誘目的、宣伝目的、男性は入室されないでください。
絶対に申請認定しませんから。



「大野さん、そこ、ですよね?」

ナビが目的地に到着したことを告げる。

そして、その建物を見て俺は唖然としてしまった。

どう見ても、これは・・・。

「全部昔通りなんだ。

日本に来る事が決まったときに建てた家だから、今の潤の喫茶店よりは親父が生きていた頃に近いかな。

ここにはあの子の香りも親父のコーヒーの香りもしないけれど、少しでもあの子を感じたくて無理を言って立ててもらった。

鍵は潤の名前が掘ってあるんだよ。

最後の日あの子と交換したからね」

それほどまでに潤の事。

「あ、れ?

車が停まってる?」

「そうですね。

どなたか来る予定でもあったんですか?」

身体を起こした大野さんは怪訝そうに車を見て、

「ね、車の中か扉の前に誰か立ってる?

あの距離、もう見えないんだ」

そう、俺に聞いてくる。

「いえ、誰もいませんが?」

この距離が見えない・・・病状のせいなのか?

「ごめんちょっと行ってくる・・・。

潤が居るかもしれないから、櫻井さんはここで待機してて。

・・・絵、描かせてくれる?」

『最後に潤の絵が描きたい』

さっきの声が蘇る。

ここまで潤への思いを見せられて断ることは出来ない。

「ええ、潤が良いと言えばですが」

「ありがとう。

それと、約束と言うよりはお願いなんだけど、潤に俺の病気の事は言わないで欲しいんだ。

あの子が泣くのは、俺が死んだそのときだけで良い。

泣かせたくはないんだよ。

俺が死んだら、櫻井さんが支えてくれ。

櫻井さんがいるから俺は心置きなく潤と離れられる。

最後はあいつの・・・」

何か言いかけて口をつぐんだ大野さんは、

「じゃ、頼んだよ」

そう言って建物の方へ歩いていった。


『あいつ』?