情けないほど震えてしまう声。
部屋に入ることを躊躇する。
だって、ここは。
「ここは潤ちゃんの寝所だった。
お前も、ここで何度も抱いてもらったな?
潤の記憶の残るところでおれを抱け。
雄に、なりたいのだろう?
潤を独り占めしたいのだろう?」
今は使われなくなった潤様の褥。
何度抱かれただろう。
何度愛していると言って貰ったのだろう。
きしり、と音をたててベッドに腰掛ける三宅様。
「覚悟をきめてきたのではないか?
とまどってるな。
なあ、翔・・・今なら、間に合う。
帰るなら今しかない。
俺と何もないまま帰るか?
それも、いい。
取り返しのつかない事を引き起こす前に帰った方がいいのかもしれない。
潤ちゃんを一人占めにしたい、誰の手にも触られたくない。
俺もそうだったんだよ。
潤ちゃんじゃないけどね。
・・・そうして、俺はここに囚われる人間になった。
お前は?翔、お前もここに囚われる人間になるのか?」
しゅるりとネクタイを外しシャツをはだけていく三宅様から目を反らせない。
「おいで」
妖しげな三宅様の目に絡めとられるように、僕はその手を・・・、
とった。