「おばちゃん!まーくんさんがテレビ出てるよ!
あっ!パパだ!おとーさんもにのさんもにょーさんもいる!
はやく、はやく!おじちゃんもはやくー!」
「はいはい」
ボクはほてるのテレビの前でパパとおとーさんをみてる。
ぼーねんかいときにおとーさんがテレビの本をみせてくれた。
あかいボールペンでまるをつけていく。
「俺も潤も、まあ、ここにいるみんながこれから忙しくなってくるんだ。
翔大が寝るまでに帰ってこられる日もあるけど、そうじゃない日が多くなる。
大人のお付き合いっていうのもあるからね。
お前はどんどん活発になっていくし目が離せなくなってきてるから、去年までのように、こっちの都合に潤のお姉さんを付き合わせるわけにはいかないんだ。
だから、俺たちの忙しさが一段落するまでお泊まりにいっていて欲しい。
で、この丸をつけたとこは俺たちが出るテレビだから応援しててよ、がんばれーって」
「おとまり?おばちゃん家の子になるんじゃなくて?」
パパとおとーさんにすてられちゃうんじゃないの?
「お泊まりだよ、ちゃんと迎えに行くし、電話も毎日する。
それとね、お正月は姉さん家じゃなくて俺と翔さんの近くでお泊まりするんだ。
時間が出来たら5分でも10分でも翔大のところに行くから」
「あえるの?」
「うん、必ず会いに来る。
ほんの少しでも翔大に会いたい」
「私たちも時間が出来たら会いに行きますよ」
にのさんもまーくんさんもにょーさんも笑いながらうなずく。
おとーさんはせっせとまるをつけてる。
パパは・・・、
「パパ、おなかいたいのお顔だよ?どうして?」
「しばらく翔大に会えないのが寂しいからに決まってるじゃないか」
そっか、パパもさみしいんだ。
じゃあ、ボクがいってあげなきゃ。
「パパ、ボクおばちゃんちでパパのことおーえんしてる。
だから、おしごとがんばってきてください!」
ぎゅってパパのことしたら、パパのうしろでまるをつけてたおとーさんが、
「潤だけズルい」
ってほっぺをふくらませてた。
「明けましておめでとうございます。
こんな遅くにすみません」
「姉さん明けましておめでとうございます」
カウコンが終わって打ち上げだ、なんだと誘われる前に衣装の上にコートを着て2人して抜け出した。
目指すは翔大の泊まるホテル。
姉さんに連絡を入れて、ドアを叩けば直ぐに開けてくれた。
「櫻井さん、潤、お疲れ様でした。
明けましておめでとうございます」
「翔大は?」
「お父さんを相手にパパとおとーさんがどんなに格好が良かったか喋ってるわ。
あの人途中で船漕いじゃったから。
今、呼んでくるわね」
ふふふ、翔大の声が聞こえる。
数時間だけど、親子水入らずで正月を過ごそう。
「なあ、本当にそれを渡しちゃうのか?」
「我慢させたんだから、お年玉には翔大の1番欲しいものがいい」
「甘いんだから、潤は」
「翔さんだって」
ポチ袋の中には黄色い鍵。
首から下げられるようにチェーンを着けたのは翔さん。
パタパタと翔大が走ってくる。
「パパもおとーさんもテレビとおんなじだー!」
キラキラした目の翔大を抱き締め、
「明けましておめでとう、翔大」
そのほっぺたにキスをした。
きいろのかぎ_オシマイ