黒いロングコートを羽織った智先輩が神父さんのように2人の式を執り行うんだから順番なんか滅茶苦茶かもしれない。
でも、ボクたちの前で十字架の前で、
「櫻井翔、あなたは相葉雅紀を生涯のパートナーとして、その健やかなるときも、病めるときも、富めるときも、貧しきときも、死が2人を分かつときまで、命の灯の続く限り、堅く節操を守ることを約束しますか?」
って言葉に、翔先輩が力強く、
「はい、誓います」
って言った時には不覚にも涙が溢れてしまって横に座るカズがボクにハンカチを貸してくれる。
智先輩に回収を頼んでいた指輪も無事もと通り2人の指に収まったのを見て、本当に本当にホッとしたんだ。
暖かい雰囲気が教会を充たしていく。
「おめでとうございます、先輩方。
もう、神様の前で愛を誓っちゃった以上逃げられませんからね。
死が2人を分かつときまでですからね」
「じゅん、ありがとう」
雅紀先輩の瞳から溢れた涙がろうそくの炎を映して煌めいている。
やっぱり幸せそうに笑ってる雅紀先輩が1番好きだ。
「まったく、困った先輩方ですよ。
でも、良かった、仲直りしてくれて」
「ごめんな、ニノ」
「ほんとにあんな相葉ちゃんの泣き顔、もう二度と見たくないかんな」
「智くん・・・誓うよ、もう泣かせない」
「良かった。
じゃあ、撤収しましょうかもうすぐ雅紀先輩の誕生日になっちゃう。
ボク、ご馳走用意してあるんですよ」
そう言って蛍光灯を点けに行こうとしたら、
「待って、潤」
雅紀先輩がボクを呼び止めた。
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