月遅れの盆の入り ← クロ君出てます。
「あのさあ、潤」
あれ?頭の上から翔さんの声がする。
でも、今、オレ、翔さんのこと抱き締めて寝てるんだけど。
眠いんだから、このまま寝かせておいて欲しいんだけど。
「じゅーん」
「うるさいな、昨日なかなかねかしてくんなかったの、翔さんだろ」
「しょーさんがおにいちゃんのこと、ねかせてくんなかったの?」
へ?
目を開ければ、目の前には困った顔の翔さん。
で、じゃあ、この腕の中にいるのは?
腕の中から引き出してみれば、にこにこと笑っているのは、くるんとした目、真っ黒の髪の少年。
「ねー、なにしてたのー?
ビュンビュンであそんでたのー?」
「お、お前、クロ!えっ?なんで?」
「ビュンビュン、クロもしたい」
「え、いや」
飛び付いてくるクロを抱き止めながら狼狽えていると、
「もしもし、俺に解るようにこの状況説明してくれない?」
機嫌の悪そうな、翔さんの声が聞こえてきた。