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扉が開く音がする。
潤の恐怖が伝わってくる。
さっきまでの小さな潤は俺を知らないぶん、柔軟に受け止めてくれた。
けれど、今の潤は過去の俺を知っているだけに受け入れがたいんだろう。
「潤」
ばんっと閉められる扉。
ゆっくりと、扉の前に歩いて行ってノックする。
「ね、出ておいで。
話をしなきゃ、この状態の意味がわかんないでしょ?
まあ、俺もよくわかってないんだけど。
じゅ~ん、大丈夫だよ、出ておいで」
なんの音もしない。
しばらくして、ちいさな声で、
「ほんとにしょうくん?」
泣きそうなそんな声で聞いてくる。
「そうだよ、30代になっちゃったけどな」
「えっ!」
「うっ!」
勢いよく開けられた扉に、したたかに額を打ち付けた。
続
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