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「やだやだやだやだやだやだ」
「ちょっと、潤!」
すばしっこい潤は、どんなに追いかけても捕まってくれない。
「やだやだやだやだ、こっちくんなっ!」
キッチンに追いつめれば、カウンターテーブルを軽々と飛び抜け、
ソファーをぐるぐる回り、俺の手が届きそうになると、
ひらりと身をひるがえす。
息、上がってきたんですけど・・・。
若い、潤が本気で逃げ回っているんだ。
俺の方が部が悪い。
「わかった、もう追いかけない」
そう言ってソファーに座り、
手にした服で身体を隠し、今にも噛みつきそうな顔をした潤に、
「服、着替えたいだろ?
そっちにウォークインクローゼットあるから、
好きなの選びながら着替えてきな」
奥の部屋を指差した。
続
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