カズが最優秀主演男優賞をとった。
「明日、表彰式に行くんです」
「そうなの?おめでとうございます」
「潤くん、わりと淡々と言いますね?」
ん?なんか不満顔してる。
どうしてかな?
「うん、だからオメデトってしたよ?」
あ、ダメだ。膝を抱えちゃった。
「なんで、拗ねてるの?」
「別に拗ねてませんよ」
「拗ねてんじゃん」
「拗ねてませんっ!潤くん、シツコイ!」
ん~?どこで、ボクはまちがえた?
ちゃんと『おめでとう』はしたよね。
カズが言ったことを考えてみる・・・。
「あっ!淡々としてた?ボク?」
「してましたよ。ガッカリですよ。潤くんに1番に報告したのに」
あは、そういうことかぁ・・・もっと一緒に喜んで欲しかったのかぁ。
カズ、かわいい。
でも、ボクも負けてないからね?
「『ただの二宮某で暮らしたい』んじゃなかったの?」
「え?あ!」
「夏目漱石にもじって、ボクに言ったのはだれだっけ?」
前に賞を貰ったときに、カズがボクに言った。
それを覚えてるんだよってにっこり笑ったら、
「もう、変なことばかり覚えているんだから・・・」
照れたようにそっぽを向く。
「カズの言ったこと、全部覚えてるよ?
変なことなんか1つもない。
大好きなカズが言ったことだもん」
その横顔にキスをすれば、
「潤くん・・・」
ボクの腰に手を回したカズは、ボクを引き寄せて口唇に甘いキスをした。