「ば、バカ!」
翔ちゃんとニノにおっきな声で怒鳴ると、二人して肩をすくめる。
もう、あんたたちはって言いたくなるのをグッと堪えて、ボスッとソファーに身を沈めた。
でも、と思う。
何て心地良い空間だろう。
翔ちゃんがいて、ニノがいて、大好きな二人が笑いあってる。
『いい加減な気持ちで手を出したんならぶっ殺す』
そう言ってくれたニノ。
僕には自然と笑みが落ちてきた。
翔ちゃんはとっても優しい。
僕も大好き。
いつのまにかメンバーの中でも公認になってて驚いたけど、きっとニノが言ったのかなーんて思って、
「ニノーみんなに言ったぁ?」
って聞いたら、キョトンとした顔のニノは、
「あーばさん、聞いてないんですか?」
って言われた。
「なにを?」
「ワタシはあーばさんから聞いてしってましたけど、言うわけないでしょ?」
「え?、じゃあなんで潤もおーちゃんも知ってるの?潤なんか『良かったな』なんて言われたよ?」
「んふ、じゃあ、なんでみんなが知ってるか知りたい?」
こくこくと頷く僕。笑いながらニノが言った言葉に目頭が熱くなる。
「翔さんから電話があって、私たち3人、翔さんの部屋に集められたの」
「え?」
「でね、私と惑う潤くんと智の前で、翔さん正座してね。『雅紀とのことが好きです。付き合いたいと思ってます。でも、それをみんなには隠しておけません。許してもらえますか?』って土下座したんだよね」
ニノの話は初耳だった。
翔ちゃんのまっすぐさに、鼻の奥がツーンとする。
「こら!泣いたらこの後のもっと良い話おしえないぞ!」
「ふぇ、なぁにい?」
「泣かない?」
「ふぅぁ、がんばる。おせーてぇ?」
「もう、泣きそうじゃん」
ニノがクスクス笑いながら耳打ちする。
「『ステージ上の演出とかじゃなく、本当に惚れたんだ。俺を生かすも殺すもあいつ次第。今、俺が嵐でいられるのはあいつがいるからなんだ』だってさ」
「なんか、ひたってます?」
目の前にニノの顔があってビックリする。
「あ、や、あの・・・」
「あーばさん、最近翔さんと似てきましたね」
「へ?」
「「どこがよ?」」
そのニノの言葉にオレも翔ちゃんもビックリして声をあげる。
ニヤリと笑みを張り付かしてニノは言った・・・。
「ふふふ、本当に夫婦は似るっていいますけど、あなたたちもね、そっくりですね。その、くるくる動く表情とか、昔のあーばさんには無かったでしょ?」
「うっさい!」
オレは、笑いながらニノにクッションを投げつけた。
ニノ、だーいすき。翔ちゃんの次にね。