カチャッと鍵が開く。
「お邪魔しま~す」
ボクは誰もいないのを確認して、そっと、部屋に入る。
合鍵を貰ってから、1人でこの部屋に入るのは初めてで、すごく緊張する。
靴、どうしようかな~。置きっぱなしにしてたら、すぐばれちゃうだろう。
でも、シューズボックスってなんか開けちゃいけない聖域っぽい気がする。
でも、あの人に限ってそんな事無いか。夏はずーと魚サン履いてるぐらいだし、特にこだわりも無いかな?
扉を開ければ、ピシッと入ってるのはそんなになくて、これならたとえあけられたとしても、そこの僕の靴が入ってるなんて夢にも思わないだろう。
靴を仕舞ってリビングに続く廊下、良くわかんないけど作品なのかな?無造作に置かれてる。
ふふふ、なんかいつも来てる部屋なのに、初めて来た場所みたい。
智がいないのを良い事にちょっと色々と探検してみた。
いつものソファー、絶対に触らないようにしながらのアトリエ、そして、最後にいつものベッド・・・。
ふかふかの枕からは、智の香りがする。
クンクン匂いを嗅いでるうちにいつのまにか寝ちゃってたみたい。
眼を開けたら、智の胸の中にいて、びっくりして起き上がろうとすると、ギュって強く抱きしめられた。
「いつ、帰って・・・?」
「2時頃、かな。メールしたら、ソファーのところで着信するから驚いた。どうしたの?」
「どうしたって、あなた・・・」
よいしょと身体を起こしたボクは、ぺたりと智の横に座り、
「お誕生日おめでとうございます」
と頭を下げた。
「んぁ?あ、そっか今日はオイラの誕生日だったけ。なんかメール煩いから音切ってたんだけど、あれお祝いメールだったのかぁ」
「忘れてた?スタジオで誰にも言われなかった?」
「振り付け考えてたから、ずっとイヤフォンしてた」
「んふふ。じゃぁ、僕が一番のりだ」
「で?家にいたのは何で?」
そう言ってあくびをする、智にキスをする。
口付けはだんだん深くなり、2人の身体が熱を持つ。
くるんとひっくり返されてボクの上には智。手を差し伸べれば、ニヤリとして、
「この誕生日プレゼントをくれるために待ってたんだぁ。じゃぁ、ありがたく頂戴しなきゃねぇ」
と熱いキスを落とした。