ぼくの大好きなおーちゃん。
踊りが上手くて、歌が上手で、絵が上手くって、でも、ボーっとしてる。
今日はボーっと立ってるからどうしたのかなって声をかけたら、壁にもたれて寝てた。
「くふふ、おーちゃんらしいけど、きっとそのまま壁を滑って倒れちゃうんだから寝るなら楽屋でね」
「ん~でも、おいら相葉ちゃんの事待ってたの」
「ぼくを?」
「そう、今日はおいらの誕生日でしょう?一番最初に、相葉ちゃんに会いたいなって思ったの」
あの時、智くんはそう言ってギューッとぼくを抱きしめ、
「おめでとメールありがとうね」と言ったんだっけ・・・。
「ねぇ、智くん」
ぼくは、後ろから抱きしめてくっついている智くんを仰ぎ見る。
「なぁに?」
智くんは少し眠そうに、眼をシパシパさせながらぼくに答える。
「何であの時ぼくのこと待ってたの?おめでとメールなんて毎年やってたじゃん」
「んふふ、だぁってメール見たら逢いたくなっちゃったんだもん。で、本当は家の前まで行ったんだよ?
でも、遅いし、おいら、誕生日だからってわがまま言っちゃダメだなって思って帰ったの。だから、朝一番に逢いたかった」
「家まで来たの?」
「うん」
「来ればよかったのに。も~、自分のお誕生日ぐらい我儘言わなきゃぁ」
「うん、だから今日はこうやってる」
ぐりぐりっとぼくの背中に頭を擦り付ける智くん。
「あ、ほら、智くん、カウントダウンだ・・・。・・・5、4、3、2、1・・・お誕生日おめでとう、智くん!」
「ありがとう、雅紀」
ぼくは智くんにメールの代わりにキスでおめでとうをした。
今日はぼくの智くんの誕生日。
あの、智くんの誕生日の日からず~っとず~っと一緒に過ごす、ぼくの大好きな智くんの誕生日。