霧雨 | ビールと猫'sと嵐さんと(注・BL)

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嵐が大好物
J担 翔潤loverですが、櫻葉&大宮何でもアリです(妄想、腐ってます)

人の勧誘目的、宣伝目的、男性は入室されないでください。
絶対に申請認定しませんから。



ぼんやりと車窓を見ていたら、懐かしくなって何年も前の事なのにその駅に降りてしまった。

少し歩く。

いつの間にか降り出した霧雨が僕の全身を濡らしていく。

橋の上、かすかに弧を描く銀水盤。

あなたと別れてしまってから、もうどのくらい経つんだろう。

「遠い街に行くから・・・」

そう言ったのはあなた。

「捜さないから・・・」

そう言ったのは僕。

捜さないからは裏返し。捜し出すから、そう言いたかった。

忘れたことなど、一時だってない。

今もこうして、あなたの姿を捜している・・・。

伏せた睫毛に霧雨が溜まり、目じりを伝って顎へと流れる。

ぱしゃん

銀水盤が不意に揺れ、水面が波打つ。

音がした方向に眼をやれば、困ったように立ちすくむ少し猫背のあなたの姿。

僕と同じように濡れそぼっている。

言葉は無い。

でも、その瞳は確実に僕を捕えている。

僕の目じりから顎へ流れる水は温度を持った。

あなたの手が僕を迎えるように開かれ、僕はその腕の中に飛び込んだ。


言葉は無い。

霧雨は続いている。

きっと朝まで止むことは無いだろう・・・。

霧雨はもう、僕を濡らすことは無いだろう・・・。