椅子に座らせ、俺より少し高い目線の潤に眼を合わせる。
何を言われてもしょうがないなんて顔しないでくれよ。
俺が今から言う事はそういう事じゃないんだ。
「潤、俺はお前を10代の頃からずっと見てきた。
いつの間にかお前の存在は俺の中で大きくなって行った。
お前がどんどん憔悴して行ったあの時、
呼び出す直前までは、智くんが言わないんなら俺が言うしかないってそれだけだった。
それが、あの日お前を目の当たりにしてから、あの時からずっとお前の事しか見えないんだ。
あぁ、惚れたなって思ったよ。
メンバーだからじゃなく、1人の人間としての松本潤に惚れてるんだって気が付いた」
「翔さん?」
「潤、俺ね、お前に、もう、怖いものは無いって思ってもらえるように頑張るから。
もう一人で抱え込まないで。
重荷は俺の肩にも乗せていいんだ。俺の肩は意外と頑丈に出来てるんだよ?」
潤の震える手を握りしめれば、強く強く握り返す。
「翔さん・・・オレね、
あんなパニック発作起こすような弱い自分だって翔さんに知られたくなかった。
翔さんの前ではいつもカッコつけてたかったんだ。
そうじゃないオレじゃ翔さんに見捨てられちゃうって。
でも、そうやり続けるのは無理だったんだよね?
メシは喰えない。眠れない。あのころが一番発作を起こしていたよ」
病院にも連れてかれたりしてね・・・潤は自嘲気味に呟き、目を瞑った。
「でもね、あの時翔さんがオレを誘ってくれた。
ありのままのオレで良いって言ってくれた。
あの時から、
翔さんがいつもオレのそばにいてくれてる、
寄り添ってくれてるって解ったあの時から、あんまり怖いって思わなくなった。」
必死に言葉を紡ぐ潤。俺は潤の手を握りしめ続ける。
「発作を起こしそうになったら、翔さんの手のぬくもりを思い出してたんだ。
上手くいかない事もあったけど、それが今日だったけど、
大概はそれで、パニックに陥りそうな自分を押し留めて・・・。
翔さんがオレの特効薬なんだよ」
一旦言葉を切った潤は瞳を開け、俺の眼を見た。
「さっき、発作を起こしそうになった時、翔さんに怒られたよね。
ハッとした。
だって、目の前で苦しんでる翔さんをそのままにできるわけないんだ。
そっちの方が、翔さんがいなくなっちゃう怖さに比べたら、他に何の怖い事がある?
パニック状態なんて、吹っ飛んじゃった」
まさに、破顔。
こんな屈託のない笑みを見たのはいつぶりだろう・・・。