部屋に帰ると、ソファーの付近には血だまりが出来ていた。かなりグロイ光景。
「掃除しなくちゃな~」
「翔さんはとりあえず、キッチンの方で座ってるか、寝室で待ってて。
とりあえずソファーを使えるように、ぱっぱと片付けちゃう。
この血が染み付いちゃったセンターラグは捨てちゃっていいよね?
今度、俺がグラスと一緒にプレゼントする。いい?」
「あ、ああ」
妙にてきぱきと指示を出す潤。なんか吹っ切れたのか?
「早く、移動して!邪魔!」
ぼーっと立っていると潤に怒られる。
「あ、はい。じゃあ、キッチンの方にいるから必要なものがあったら言って?」
「ありがと」
泣きそうな顔をして膝を抱えていた潤がソファーにいたのは、3時間前と言うのに、
今目の前の潤は、額に汗をかいて、ソファーをどかしてセンターラグを移動したり、
グラスの破片を慎重に片付けている。
「ふふふ」
「あっち~!よし、とりあえず終わり!何?笑った?翔さん?」
「ありがとうな、全部やってくれて。終わったんだったら飯でも行こう?喰えるだろ?」
「ん~?オレ、作るよって言いたいんだけど、冷蔵庫の中身お酒以外にあるの?
この間来た時は、お酒しかなかったでしょ?」
「たぶん最後に潤が見た状態から変わってません」
「じゃあ、手の怪我もあることだし、デリバリ取ろうよ。チラシどこ?」
「あ~、その辺に無きゃわかんない。ネットで頼んじゃえばよくね?
それよか、潤も汗かいただろうし、俺もいらぬ汗かいちゃったからビールでも飲もうよ」
「は?何言ってんの翔さん!今日はお酒ダメだよ。縫ったんだからね!」
「え?」
「あ、た、り、ま、え、なの!」
「そんなぁ~」
最後に残ったガラスの破片を不燃ごみの中に入れ、潤は微笑みながら俺のそばにやってくる。
そして、ギュッと抱きついた。
「ごめんね、翔さん」
「こら、さっきまでの勢いはどうした?怪我の事だったら不可抗力だろ、気にするな」
「ううん、今までの事、全部。翔さんを騙してたこと・・・ごめん。
それに、オレさっき翔さんに酷い言葉投げつけて・・・ごめんなさい」