潤くんはきっともう大丈夫。
もう少し時間はかかるかもしれないけど、きっと発作になる回数はどんどん減ってくるだろう。
これで、良かったんだ。
現場に向かう車の中、翔くんの顔が浮かぶ。
ほんとに何も知らなかった翔くん。
翔くんにひた隠しにしていた潤くん。
本当はおいらも和も相葉ちゃんも、ずっと潤くんを支えたくてしょうがなかった。
だって、理由はそれぞれとしても、一緒のグループとしてデビューして、
バレーボールが終わる頃には、確かに『嵐』っていうものになってたから。
このまま、どこまで行けるか解らないにしても、それなりにやって行く気になってたんだ。
でも・・・潤くんは俺達の事は眼に映らないようだった。
本当にカメラがまわり、シャッターが切られるまではガラス玉みたいな眼をして、さ。
つまらないって言うのとは違う。
何も感じてないし、何にも耳に入っていない、そんな感じ・・・。
それが、翔くんの前だけでは違うって感じたのは、
初めて潤くんが目の前で発作を起こした現場でだった。
そこにいたのはおいらと和。
ジャケ撮影、先に集まったおいらたちは1人1人の撮影を始めていた。
後から来る翔くんや相葉ちゃんの為にも、特にこの後、収録が待っている翔くんの為にさっさと終わらせておく必要があったんだ。
1番に来ていた和の撮影が始まり、それを眺める潤くんの姿がちらっと見えた。
きっと、また何も見てないんだろうな・・・
そんなことを思いながらメイクをしてもらっていたその時
『ガチャーン!』という音と共に
「きゃー!」
「松本くん!松本君どうした!」
「潤くん!どうしたの!」
スタッフさんと和の叫び声が上がった。