朝、窓から差し込んでくる日差しに目を細める。
今日は午後から大野さんと撮影だ。
新曲の振り付けでしっくりこないところがある・・・大野さんに会った時、聞いてみよう。
出かけるための服を選び、キッチンに向かう。
すでにマグカップにはなみなみとブラックコーヒーが出来ていて、
それに口を付けながらソファーの所に置いた紙袋を見やった。
昨日のオフ、買い物に出掛けたオレは自分の手にしている服を見て驚いた。
何も考えずに手にしたその服は、どう考えてもオレの趣味ではなくて・・・
「あっはは。これ、翔さんに買ってこうかな」
自分の買い物と一緒に買ったそれは、ラッピングなんて恥ずかしくて出来なかったから、
サイズのデカい紙袋の中だ。
「きっと、渡せないんだよな・・・オレ」
「すみません、スミマセン、オレ・・・」
口元に手を当て、緊張しきった顔で潤が声を上げた。
撮影が止まる。
「大野さん、ごめん。スタッフさんも、ごめんなさい」
「潤くん大丈夫?ちょっと、休憩してくる?真っ青だよ」
「あ、でも、時間押しちゃうよね。大野さんこの後も仕事あるんでしょ?」
「まず、座って。ちょっとマネージャーに確認してくるから」
何だ?
真っ青な顔をした潤。冷や汗を滴らせ、渡された濡れタオルで顔を覆う。
さっきまでは普通、だったよな。普通に智くんと笑い合ってた。
撮影は順調であと少しで終わると言う時、突然潤の顔色が変わった。
手が震え、持っていた皿を落とす。
カシャーンと言う音がスタジオに響き、自分の行動に呆然とする潤がいた。
あ、楽屋に戻るのか?
大野さんとマネージャーに促されて、スタッフに抱えられるようにスタジオを出る潤。
大野さんが隠れて見ていた俺の方に歩いてくる。
「見てた?」
「なに、アレ」
「翔くんの前であんなになった潤見た事無いでしょ。でもね、かなり前からだよ、あれ」