「今日、リーダーの家に行って良いですか?」
収録の合間、かずが耳打ちする。
「う、うん」
誰かに聞かれないかとドキドキしながら頷くと、かずは何事もなかったような顔をして相葉ちゃんの隣の席におさまった。
何だかいつものかずとは違う言い回しに胸がざわめく。
なんだろ・・・?
「え?」
なに?今、かずは何て言った?
おいらの部屋。目の前で膝を抱えて座るかずから思いもよらない言葉が出る。
「演技をしたいって前から真剣に考えてたんです。そうしたら『オファーが来てる。オーディション受けてみないか?』って言われて・・・まさか、受かると思わなかったんですけど」
「それって、脱退ってこと?」
「そこまでは考えてないです。でも、暫く活動は四人でお願いすることになります」
頭が真っ白になる。
かずが、いなくなる?そんなの、やだ。
「やだ、嫌だよ、かず。行かないでよ!」
「さとし・・・」
その細い肩を掴み、無理矢理その場に押し倒す。
抵抗しないかずの瞳は哀しみを湛えていた。
「チャンスなんだ・・・よ」
「だからって!」
思わず声をあげる。その、自分の声に呆然としてかずから身体を離す。
おいら、かずの夢を潰そうとしてる。
「ごめん、かず・・・おいら」
「たぶん、こんな風に・・・反対、されると思ってた。明日みんなに言うけど、脱退も頭に入れておきますね」
かずは身体を起こすと、おいらを残して部屋を出ていった。