それから、楽屋や現場でかずの姿を見つけるたびにくっついて回った。
最初は邪険にしていたかずも「りぃーだぁはしょうがないなぁ・・・」と笑って背中を貸してくれる。
子供みたいに体温の高いかずの背中にもたれ掛かり、うたた寝すると本当に安心できたんだ。
おかげで、かずの変調はすぐに気がつくようになった。
例えおいらが見過ごしても潤君が教えてくれる。
「カズを泣き止ますのは大野さんの仕事でしょ」
潤君の口癖。その裏に隠された潤君の気持ちには気がつかずにいた、おいらはなんて酷い奴だったんだろう。
でも、それほどかずに夢中だった。
かずも、次第に蕩けるような笑顔を向けてくれるようになって・・・。
かずから「好き」って言葉をもらった時は天にも昇る気持ちだったっけ。
「好き」がいつしか「愛してる」に変わり、お互いの部屋の鍵を交わした直後、おいらにとって一生忘れられない出来事が起きた。
あの時かずはおいらを試したのかな?
いったいどんな気持ちだったのか、もっとちゃんと聴くべきだった・・・な。