夢憂

深夜の2時の公園は

雨に降られて濡れていた

風に吹かれて揺れていた

少女はひとりブランコと

すべり台の頂上で

空にこぶしを掲げるけれど

星は見えない

月も隠れた

 

少女は未だ夢の中

ベットの上で眠ってる

吹かれる木々に触れるけど

温度もないまま浮遊感

 

外灯が照らすアスファルト

人影ひとつも見当たらない

点滅している信号機

黄色く染まった少女がひとり

少女はベットにいないけど

少女はここにはいないのだ

 

水溜まりを踏みつけて

駆けてゆくけど反射しない

ここに少女はいないのだ

 

 

 

 

 

 

 

   少年

街の中にぼくはいた

人ごみの中にぼくはいた

視界がぼやけ、周囲の声が遠のいていく

目の前は真っ白になり、音は完全に消えた

黒いものがざわめいている

ぼくの中で生まれたそれは

ぼくの意志とは関係なしに

ぼくの芯まで侵食する

白い空間で、ぼくだけが黒く染まっていく

ぼくはそれを拒むことができない

それはぼくを這いまわる

それはぼくを掻き乱す

蝕み続ける

穢されていく

ぼくの内部にあったそれは

ぼくの外部までにも溢れ出す

ぼくはそれを止めることはできない

ゆっくりと、けれど確実に

ぼくは捉えられていた

そこにぼくの姿はない

真っ白な空間で、ぼくだけが黒く呑み込まれた

 

 

 

 

  色調

無色透明に透けていく

君は何処にも見当らない

誰にも君はわからない

雨が降っても日が照らしても

見えたことは一度もない

触れる前から消えてしまう、

見えないから、と諦めた

君の持ってる鋭利さも

僕が知ることはないけれど

君が色に染まったとき

極彩色になったとき

誰かが君に気づくだろう

 

 青い時間に呑まれた日

僕は黒さに落とされた

それは知らない青と黒

一羽のカラスがとまった窓辺で

僕は再び眠りについた

 

 赤い時間はすぐ過ぎる

禍々しさが垂れていく

全て壊してしまいたい

けれどそれも一瞬で

すぐに冷めて黒くなる

 

 

 

 

  羊の心臓   

ここにあるのは白と黒、

赤と青が混ざり合う

黄色も緑もここには無い

君の持っている色も

やがて消えてなくなるけれど

君は透明にならないように

いつも刃物を持っている

 

臆病者が街にいる

ここにいると叫んでも

君は何処にも見つからない

誰も君を見つけない

いつも同じ場所にいる

そこには誰も来ないのに

君はそこから動かない

誰かが来るのを待っている

そこにいても何も

ないことは