ユダヤ人の定義 | Saishoku==彩色==

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ことばをさがして


昔、ユダヤ人の明確な定義は難しい
と聞いてとっても驚いた。
ユダヤ人であったがために、多くの人が命を落としたのに。

そもそも民族というのも良く分からない。
自分が他の民族と違うと知るのは、他の民族と出会うからである。
ユダヤ人がその民族性を強く意識しつづけたのは、
他の民族に迫害を受けた歴史が長いからである、とはいえよう。

ユダヤ人とは、ユダヤ教を信仰している人か?
いや、キリスト教に改宗したユダヤ人はたくさんいるし、
スピノザは無心論者だけどユダヤ人である。

血縁集団でもありえない。
ユダヤ教に改宗すればユダヤ人になれるからだ。

自身もユダヤ人であるドイッチャーはこういっている。

「もし人種でないとするならば、いったいユダヤ人を構成するものはなんであろう。
それは宗教であろうか。私は無心論者である。
それはユダヤの民族主義であろうか。私は国際主義者である。
だからどの意味にとってみても私はユダヤ人ではない。
私はユダヤ人の悲劇は私の悲劇であると感じている。その点で私はユダヤ人である。
私は身にユダヤの歴史の鼓動を感じている。その点で私はユダヤ人である。
そしてユダヤ民族のうわべだけではない新の安全が保障され
自己に対する尊厳が確立されるためなら全力を尽くすつもりでいる。
その意味で私はユダヤ人である。」
(I.ドイッチャー『非ユダヤ的ユダヤ人』岩波新書)*アマゾンになかった・・・

サルトルはこういっている。

「ユダヤ人はなによりも、先ず社会的人間である。
なぜなら、彼らの苦しみが社会的なものだからである。
彼をユダヤ人にしたのは、神の摂理ではなく、社会である」

ユダヤ人 (岩波新書)/J‐P. サルトル

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サルトルは、反ユダヤ主義が幻想的に創り出したものだといっている。
何かうまういかないことがあると、「これはユダヤ人が~だ」
といってケリをつけるのである。
おかしな話だと思うけど、この方法は長い間用いられてきた
ヨーロッパ全域において。

ロシアでも顕著だった。
1800年代に占領したポーランドで、
ポーランド人のロシアに対する憎悪をユダヤ人にむけるように仕組んだのである。
ユダヤ人は「ユダヤ人特別居住地域」に住まわされた。
そして、ポグロムといわれる集団的迫害行為にさらされたのである。

スーチンが生まれた旧リトアニアはまさにこの時代であった。
ポグロムの恐怖の中極貧の生活を送っていたのである。

イスラエルの帰還法に定められているユダヤ人の定義は
「ユダヤ人の母親から生まれた人、またはユダヤ教に改宗を認められた人」
だそうです。

いかにも、法の運用のために創られた、という感じですが。
定義というのが、物事の本質を要約したものでないことが
よーくわかるというか。