ж 48 ж ケツカカト
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さあ、猫のまねをしましょう。
まずは手を耳の上まで上げて招き猫のポーズ。
ニャンニャン、ニャー。
続きまして獲物に襲い掛かるポーズ。
シャーッ、Strikes back!。
さて皆さん、この時手はどの様にしていましたか?
まず招き猫のポーズの時。たいていの方は猫の前足を表現する時にグーでもパーでもなく、指だけを曲げていたのではないでしょうか。そして襲い掛かるポーズの時はパーに広げた指を力を入れて軽く曲げていたのでは?
これはそれぞれ主に肉球を表現したものと爪を出した状態を表現したものですね。むろん間違ってはいません。表現としては合っていると思います。しかし、実際に猫たちはこの様な時に前足をどの様な形にしているのでしょう。
猫の前足は(後足もそうですが)毛に覆われている上に肉球が付いているので見ただけではそれがグーなのかパーなのか解りません。そこで猫が最も嫌がる事の一つ「足先をつまむ」をやってその形を確認してみましょう。
おっ、丁度よく「はな」と「まめてつ」が箱座りで日向ぼっこ。
「はな」ちゃん、ちょっと手を触らせて。「いゃっ!!」。逃げちゃった。
じゃあ、「まめ」ちゃん、ちょっち触らせてくれやぁ。ギロッ。「なにすんねん」。ちょっとだけ胸の下から手を出してよ。「いやだ」。そんな事言わないで、な。ギュー。「いやだったらいやだ」。ググーッ。力つえーなこいつ。
という事でモデルは「ごまめ」ちゃんです。ごはんちょうだい、と寄って来たので、手を触らせてくれたらあげる、と言ったら快諾してくれました。(そんな訳無いですね。まだ小さいので私の悪だくみを察知する事が出来ないのです)
仰向けに抱っこして前足を動かない様に押さえたら足先だけをちょこんと曲げた状態でおとなしくしています。人でいう所の手首を曲げた状態です。では触ってみましょう。
手首からまっすぐ骨が通っています。その骨が掌球を過ぎたところで枝分かれします。つまりそこまでが手の甲で、その先が指となります。でも掌球は手のひらそのものではありません。いわば手のひらの指の付け根の部分に出来たタコです。歩く時は握るのとは逆の方に曲げた指とこのタコだけを接地させているのです。いわゆるつま先立ちですね。
さて、タコを過ぎた指の骨をたどっていくと先端少し手前でちょっと凹んでまた盛り上がって爪の先端で終わりとなります。どうやらこの凹んだところまでが骨でその先は爪の様です。
このちょっと凹んだ所の真下に指球があります。爪の付け根にポチポチポチポチとあるプニプニです。先程歩く時に、指を接地させて、と書きましたが、実際に接地しているのはこのプニプニ部分で指の先端にあたります。
ここでちょっと疑問。このプニプニの中に骨はあるのか?
先程たどった骨はその先端が下へ曲がっています。雰囲気的にはそのままプニプニへ伸びていてもおかしくありません。そこでさんざんプニプニを触ったり潰したりしたのですがどうもその気配がありません。という事でプニプニは指の腹。でいいかな。
さて、その指ですが、これは普段は隣の指とくっつけているようです。しかし、獲物を襲う時や人がちょっかいを出してその報復の為に爪を立てる時は広げるようです。(今まさに「ごまめ」の手がその状態。さんざんいじったのでいい加減ご立腹です)
ただし爪を出す時にその指の伸ばし方は変化しないようです。
猫の爪にはその根元に上には指の骨と繋がる靭帯があり、下には腕の方まで伸びる腱が付いていて、普段は靭帯が引っ張る力で爪を収納。出す時は腱に繋がる筋肉を収縮させることによっているそうです。(その筋肉がどれなのか腕をいじっていたら爪が出ました。でもそれは腱に繋がる筋肉を刺激したからではなく本人の意思によるようです。いったいどの筋肉で爪を出しているのでしょう)
という事でポーズのこだわった正解。
招き猫の時は手首を曲げて指は第一関節だけを少し曲げただけの基本はまっすぐで指どうしは着けておく、襲い掛かるポーズの時はその指を開く、でした。
ではやってみましょう。
うっ、可愛くない。うっ、怖くない。うっ、手がつる。
さて猫の骨格にまつわる疑問が1つ解けました。(という事にしておきます)よかったよかった。
ところで疑問と言えば以前の私にはこれを上回る最大の物がありました。それは
「猫の膝はなんで人とは逆に曲がっているのだろう」
という事です。
幼少の頃はこれが大いに謎でした。人の膝は前に曲がるのに猫の膝は後ろへ曲がります。そしてやがて気付きました。犬も後ろに曲がってる。あっ、鳥もだ。ああっ、人だけが前に曲がってる。
これは後ろ足の話ですね。人の肘は他の動物の前足と同じ様に後ろへ曲がります。なぜ人の膝だけが前に曲がるのだろう。
その答えをいつ知ったのかは定かではありません。(つい20年くらい前、鳥の膝を前に曲げた絵を描いてしまった事がありましたが……)その答え自体は理屈としては随分前から解っていた様にも思えるのですが、実感がわいたのは「こてつ」と「リラ」を飼いだしてからの様に思えます。
猫の後ろ足の後ろに曲がっている部分は人でいうところの「かかと」で、前足も含めてつま先立ち。膝はお腹の横辺りにあってちゃんと前に曲がっている。
本か何かで知識は得ていたのでしょうけど実際に猫の足をなでているとこれがよく理解出来ました。そして普段はあまりその存在が良く見えないモモ肉がとても発達している事と触った感じがとても美味しそうな事も。
以来「こてつ」いじめの一つに「うまそうだなー。食べちゃおうかなー」と声を掛けるというのが生まれました。本当に美味しそうと思っているのでこの声を掛けるとそれを感じるのか、食べないでー、と懇願するような鳴き方をするのでそれが面白くって。
それにしても猫の足の裏は長すぎ。あれでは絶対みんなかかとを膝だと思っちゃいます。
猫の体の部位名称で間違っているなーと思われるのがもう1つ。
それは「おしり」。
猫の場合よく尻尾の根もと辺りの背中を「おしり」と表現しますね。でもそこは「おしり」ではなく「腰」ですよね。猫が悪い事をしたのでお尻を叩いてやった、なんて事がありますが実際に叩いているのは腰。お尻はやはり尻尾の下、肛門のあたりでさすがに私も素手でそこを叩くのはちょっと抵抗があります。ここを叩いたら人と違ってモロにメドですからね~。
猫の骨盤は人のように横に張り出して内臓を受け止める形ではなく足に沿うように下へと伸びています。ですから顔のでかい猫はいてもケツのでかい猫はいません。頭よりお尻は小さいのです。
肩甲骨も同様に横に張り出してはいません。よって猫の体はスリムです。パタンと横になれば枕要らず。頭が通る隙間があれば体は通ります。(「まめてつ」はお腹が使える時がありますが)
かように猫と人はその骨格や筋肉のパーツは同じなのに、その方向性が全く違うのでそもそもが猫のまねをすること自体に無理があるのです。
例えば座っている時。
かかととお尻を地面につけてなおかつ腕もをばして手も地面に着けている。
やってみてください。お尻とかかとと手がほぼ同じ位置にあるのです。ケツカカト座り、私には出来ませんでした。
座り方だけではありません。歩き方、寝姿だってまねできません。
やってみてください。手足ともつま先立ちで膝はお腹の横で顔をあげて前を見て歩く。
やってみてください。体を丸くして足を枕にして寝る。
(ご注意。家族のいる前でいきなりやらないで下さい。以後違う目で見られてしまいますので)
ちなみにケツカカトの語源は大昔私の友人に付けられたあだ名です。もちろん猫のように座れるからではありません。お尻の下がすぐかかと。つまり短足だったから。今思うとひどいあだ名だなー。
--第44号(平成24年1月8日)--
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