新しい資本主義 | 肉食系大学院生(博士課程)の読書メモ

新しい資本主義


肉食系大学院生(博士課程)の読書メモ-新しい資本主義



新しい資本主義

原丈人

PHP新書

 

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率直に、この本は感動しました。

日本および世界の未来を照らす一筋の光を見た気がします。



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 アメリカ合衆国中心の金融資本主義が崩壊し、資本主義の在り方自体が問われている現在、次の時代に到来すべき新しい資本主義の形とはどのようなものなのでしょうか?

 

 金融資本主義の崩壊で学んだように、ゼロサムゲームのマネー獲得競争において架空の価値を奪い合うことは、必然的に人類の富を一極集中させ、多くの貧困を生みだすことになります。人類全体として安定的に成長していくためには、基幹産業を中心とした実態経済の活性化による発展しかありえず、金融はそのサポート役に徹するべきである。

 

 しかし、コンピュータ産業が成熟期に達した今、次の時代の基幹産業となりうるものは何でしょうか?それはまだ生まれていないものですが、革新的なコア技術と、そのコア技術を応用した産業であることは間違いありません。

 

 上記のような次世代の基幹産業をになうようなコア技術を生み出す科学力と、それを実業として育てる土壌が存在するのは、世界において日本が最も優秀であると筆者は主張します。

 

 また筆者は次世代の資本主義の在り方として、「公益資本主義」という考え方を提示しています。貧困にあえぐ国において、コア技術を用いた公益事業を興し、ベンチャー企業としてその国の産業の発展に寄与するとともに、その企業が発展することがその国の医療、教育の推進になる仕組みを導入するという考え方です。

 

 事業として人類のためになることをやる。

 企業として収益を挙げる。

 

 この一見相反する2つのことを同時に達成することができれば、きっと世界は今より
幸せになるのではないでしょうか?