映画『国宝』をようやく観ることができた。

@ミッドランドスクエアシネマ



 

映像化ならではの見どころ

 

映画館に観に来てよかったー!と感激したのが、劇中劇の場面。吉沢亮さんと横浜流星さんの演技がすばらしくて、客席から舞台を眺めるアングルでは、スクリーンの中のお客さんと一緒に拍手したくなることが何度もあった。
逆に、舞台から客席を眺めるアングルはとても新鮮だった。

 

映画なので当然、役者さんの顔面がドアップで写されることもある。しかし、そこはさすが吉沢亮さん、白塗りでも、お化粧が崩れてさえも美しい。

歌舞伎の「映画化」という点において、大画面に耐えうる美しさは担保されるべきだと思うので、吉沢亮さんの起用は大正解であった。

 

 

「徳ちゃん、出ないよ」

 

一方、気になっていたのが徳ちゃんの存在。

単行本は未読だが、新聞連載当時は毎朝楽しみに読んでいたので、徳ちゃんは超重要な登場人物であるという認識だ。
 

実は映画を観る前に、知人から「徳ちゃん、出ないよ」とは聞いていて、正直、聞いておいてよかったと思っている。いや、正確には、徳ちゃんの役はあったがその役割は果たしていなかったと言うべきか。知らなければ、大人になった徳ちゃんが登場するのを待ち続けてしまったと思う。


 

原作で喜久雄から徳ちゃんが離れていったときの喪失感が強烈で、思い出すと胸のあたりが重くなる。孤高の存在となった喜久雄の“真の孤独”を決定づける出来事だったと思うのだ。
映画版ではその衝撃が描かれない分、孤独さは感じつつも、原作で感じた絶望感はない。

 

徳ちゃんがいない分、喜久雄と俊ぼんにフォーカスが絞られ、この二人の関係が鮮明に描かれていたと思う。

 

 

観終えて

 

映画を観たことで、単行本化された原作を改めて読みたくなった。ただ、あの重さを一気に受け止める勇気がない。新聞連載で日々少しずつ読んでいくくらいのテンポが、私にはちょうどよかったのかもしれない。

小説で描かれた、その道を究める者の熱と狂気と孤独を、映画でも感じることができた。

 

 

おわり。