働いているレストランでは、シーフードといえば鱈のフリッターとほたて(Scallop)のグリル・2種ソース、の2メニューしかありません。
しかし先日、「ものすごく活きがいいエビがあったから」と、オーナーシェフが大きなエビを仕入れてきました。
確かにものすごく大きく、エビ慣れしている日本人の私でもちょっとたじろぐほど、ひげもピーンと長く目も黒々しています。
ひげを別にしても、全長25センチはあると思われます。
ところで、英語ではエビ一般をShrimpと称しますが、ある程度以上の大きさのものをPrawn,手長エビをScampiなど、呼び方が違ったりします。
ついでに言えば、エビを使ったアメリカ料理にShrimp Scampiというのもあって、ちょっとややこしい。
ま、とにかくこのエビはりっぱなPrawnで、ヘタをすれば小さな伊勢エビ並み。
”スペシャルメニューで出すから、下ごしらえをしておいて”というシェフの指示でしたが、さて背ワタは除きましたが、、頭はどうするか胴体の殻はどうするか?
そりゃ、頭と胴体の殻をとってしまうと火を通したときには少なくとも3分の1の大きさに縮んでしまい、見栄えのゴージャス感はゼロです。
しかし、胴体の殻をそのままにしておいては、食べる客には面倒くさすぎるし、頭にいたっては目とひげが怖すぎ。
己の体長より長いひげが・・・
私でさえそう思うのですから、アメリカ人がビビらないわけがありません。
結局オーナーシェフもそう思ったんでしょうか、私が知る限り、そのエビがスペシャルメニューとして出されたことはありませんでした。
エビに似たもので、アメリカ人が好きなロブスターがあります。
殻のまま茹でられ、真っ赤になって供されます。
専用の道具を使って殻を砕いて、手で食べます。
人類で最初にこれを食べた人は、さぞかしお腹が空いていたか、勇気があったかと想像されるほど巨大です。
ただ、ひげがあまり長くないのが抵抗なく食べられる理由かもしれません。
いやー、エビのひげがこんなにインパクトがあるものだとは。
なんだかエビの生命力そのものの気がして、たじろぎました。