まだ日本に住んでいた頃、ベジタリアンであるという人に会ったことがありませんでした。
今はどうなんでしょう?
でも、それだと寿司も食べられないっていうことだから、あんまりいないかもしれません。
ところがアメリカでは、まあ私が住むエリアでは、5人いたら1人がベジタリアンのような気がします。
きっかけを訊いてみると、アレルギーとか宗教とかには関係なく、動物を殺生することに抵抗を感じてという人がほとんどです。
多くのベジタリアンの人たちは、チーズなどの乳製品は食べます。
人によっては卵も大丈夫。
友人にずっとベジタリアンを通してきた人がいますが、結婚をきっかけに夫の食べるチキンをちょっと食べてみたら、最初は身体が拒否しておえおえし通したけど、食べられるようになった、と言っていました。
初めての時そんなに辛い思いをしたのに、チャレンジし続けたのが素晴らしいです。
この菜食主義をもっと徹底した人たち(Vegan)は、バターなどの乳製品はおろか、はちみつさえも食べるのを拒否します。
私にこういう主義を押し付けようというのではない限り、他人の主義をどうこう言うつもりはありません。
しかし最近このビーガンの人が、私が働くレストランで「どうしてここにはビーガン用のピザがないの!」と騒いだことで、ちょっと問題に。
これほど短気な人は見たことがないと私が常々思っていたオーナーシェフですが、やっぱりこれを聞いた途端、瞬間に”怒”モードに針が振り切りました。
「そんなまがい物を作れって!?」と、火を噴いていました。
”ビーガンチーズ”って、チーズとはいっても、もちろん動物のミルクは使えないわけで、豆だったり豆腐だったりじゃがいもとかを使ってチーズっぽい味と舌触りを似せているもの。
品質や本物にこだわるシェフは、きっとチーズと呼ぶのさえけがわらしいと思っているはずです。
第一、そういう”特別”メニューを用意していないレストランへ来て、「なんでないんだ?」と騒ぎ立てる神経が、私は嫌いです。
個人的に特別なものを主義として大切に思う気持ちは、私も敬意を払うし尊重もしますが、それを振りかざすようにしてくる態度は、ちょっと違うと思います。
己の主義を大事にするあまり、周りが見えなくなっているのはいただけないな、と自分への反省もこめて思いました。