さて、私が働くレストランのオーナーは、かつて同じベーカリーで働く同僚でした。

 

同僚とはいっても、彼女はキッチンでサンドイッチやスープを作り、私はキャッシャー兼ケータリングの準備兼サーバー兼在庫管理兼・・・とにかく何でもやっていました。

 

かれこれ10年くらいも前のことでしたが、その頃も彼女の毒舌はすさまじかったのを覚えています。

 

 

今回彼女がレストランをオープンするにあたって私を誘ってくれた時、ちょっと年齢を重ねて丸くなったのを期待していましたが、とんでもない、さらに毒舌に磨きがかかって「こういうのを”ボロクソに言う”っていうんだろうな」と思います。

 

毎朝来るなり、マシンガンのように昨夜の腹が立った客について撃ちまくります。

基本、こういう人は客商売なんかしたらあかんと思うのですが、彼女の言うことに一理あることも認めます。

 

 

今日のターゲットは「45分しか時間がないからテイクアウトにしてくれない?」と言った客でした。

オーナーの特権でNO!と拒否したせいで、口論になったらしい。

 

確かに、食材と味と盛り付けとに強烈なこだわりを持つ彼女ですから、テイクアウトなんて怖気をふるうくらいの侮辱でしょう。

 

 

それで思い出しましたが、私がキッチンマネージャーとして働いていたティーハウスでは、「観劇まで時間がないから、15分で食事を出して」と言ってきた客がいました。

混んでいたこともあって、「時間がないなら来るな!」とわめいたことがあるので、彼女の気持ちは分かります。

 

 

とにかく、お金を払う側だからというので、無理を言ってくる客は多い。

よくある例を挙げてみます。

赤い字はオーナーの火を噴くほどのぎゃおぎゃお炎を最短に要約させていただきました。

 

・ 「これは食べられないから入れないで、代わりにあれを入れて」とか勝手にメニューを変えてくる客。なんで食べられないモノが入っているメニューをわざわざ選ぶんだ?

 

・ 「ドレッシングは混ぜないで別に持ってきて」で、結局全部かけている客。何がしたいんだ?

 

・ 「あのテーブルの人は私より後に来たのに、先に料理がでてきた」と、この世の終わりのように騒ぐ客。だってあのテーブルの人はサラダだから火を通さない分早いんだよ!

 

・ 「このスープにベーコンが入ってるなんて知らなかった。食べられないから他の物に替えて」と、チャウダーをキッチンに返してくる客。チャウダーつったらベーコンだろ!たとえ手をつけてなくてももう他の客に出すわけにもいかないし、無知のために無駄にしなくちゃならない!

 

 

こんな感じで、毎朝毎朝来るなり大声のぎゃおぎゃおが。

よくまあ、毎日腹の立つ客が来るものです。

 

オーナーも瞬時にさっと撃てるマシンガンのような性格の人ではあります。

が、毎朝少なくとも30分はそれを聞かされる私たちキッチンスタッフのためにも、お金を払っているからといって神様ではないことを理解していただけると幸いです。

 

静かな朝を私たちに下さい。

 

 

 


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