今日いつものようにニュースをチェックしていて、「なに!?」と前のめりになってしまったニュースがあったので、そのことについて少し。
そのニュースとは、
ニューヨークにあるメトロポリタン美術館に展示されている バルテュス(Balthus) の名作 「夢見るテレーズ(Therese Dreaming)」 が「いかがわしい」とされて、作品の撤去あるいは注意書きを添付することを求める 嘆願運動が行われており、5日までに9000人以上が署名した。
というものです。
その絵はこれ。
今特にアメリカでは、 著名人の性的不品行に対する非難が高まっていて、フェイスブックでも #MeToo(私も)をアップして、性犯罪反対を叫ぶ人が続出しています。
それによって今まで黙っていた人たちも名指しで糾弾し始め、「えっ、あの人が!」とびっくりするような人が映画界から追放されたり、ニュース番組をクビになったりしています。
そういう動きに対して、私は自然なことだと思うし必要なことだと思います。
そして、それが各自の行動を律するようになれば、素晴らしいことだとも思います。
しかし!
それがこの絵へと飛び火するのは、絶対に間違っていると思います。
こういう運動の問題点は、どこに線を引くかを分かっていない人がいることです。
なのでこういうことが起こります。
この絵が描かれたのは1938年。
今は2017年。
その間ずっと愛されてきたのは、この構図、色彩、少女の硬質さと、アンニュイな少女のポーズと表情であって、突然ヘルメットをかぶってプラカードを持ったような人たちに、未成年の少女のパンチラを咎めて突入してこられても。
そういう人たちは、裸婦の絵のモデルが未成年だったら、同じように大騒ぎするんでしょうか。