引き続き、食べる話です。
私は、お客さんをディナーに招待するのが好きですが、レストランで友人とご飯を食べるのも好きです。
しかし、これもまた一緒に食事をする友人によっては、困惑することになります。
前に一度、友人とチャイナタウンの飲茶が食べられるレストランに入った時のことです。
「私はよく知らないから、適当に選んで」というので、カートを押しているチャイニーズのウエイトレスと、私は中国語が話せないので魚やえびのジェスチャーをし合って、まずは5皿選びました。
するとその友人は、「これは何なの?」(私も名前を知らない)、「何のような味なの?」(私も食べてみなければ、わからない)と質問攻撃をかけてきて、納得するまで口にしようとはしません。
私の答えが段々ぞんざいになってきたのが分かったのか、少量を注意深くつまみあげて、上から下からしげしげと眺め、疑い深そうな顔で、なぜか私の目をじっと見つめたまま咀嚼します。
小エビをつまみあげて、「この触覚も食べるの?」などと聞きます。
日頃から「私は食べるのが大好きなの」や、「新しいものにチャレンジしたい」と言っている人の言動とは思えません。
えびの触覚でこの騒ぎですから、鶏の足や牛の胃の煮込みを選んでみたら、どういうことになっていたかと思います。
別の友人は、日本料理店でブロッコリーのてんぷら巻きをオーダーして、同じ皿に盛ってあったわさびを、止める間もなくぱくっと口に入れて大騒ぎになりました。
息をのんで見守っていると、目がくるっと裏返って、顔がガクッと横に振られて、大量の涙が出ました。すごかったです。
同じ緑色なので、ブロッコリーだと思ったんだそうです。
友人のおかげで、私の食事の味の記憶はありません。