碧の世界を行く階段がある
どこまで続いているのか
朝の陽はやや南寄りから差し込む
夏の衣を脱ぎ捨てて秋の装いになった風景
と、言いたいところだが
風景の衣替えはまだ先のようだ
昨夜見た夢を思い浮かべながら
少し浮かれた足取りで
碧の世界の階段を登っていく
果てしなく
果てもなく碧の世界
いっそ緑の服を全身にまとってみようか
碧に紛れて透明人間になれそうだ
さあ、君もおいでよ
そう言って手を差し出した
でも、そこには誰も居ない
静まり返った碧の世界に咲くヒガンバナ
自分がどんどん小さくなって
風景の中から消え去ってしまいそうだ
僕は碧の世界に一人佇む