朝は小雨交じりの天気だった
その雨もようやく上がったようだ
昨日と全く違う涼しさ
今朝の公園に猫はいなかった
そんな日もある
くも
初夏の日差しがおどる午後
ぼんやり空を見ていると
1本の絹の糸が
輝きながら風に流れている
よく見ると
それは作りかけたままのくもの巣から流れた
1本のくもの糸だった
が、くもはどこにもいない
外はまばゆい光の洪水だ
視線を落とすと
乾いた地面に仰向けにくもが落ちていた
手足をちぢめ
動かないくもの上には
黒いハチが1匹たかっている
やがてハチは誇らしげに飛び交い
どこかへいってしまった
しばらくすると
1匹のアリがくもに近づいてきた
どこからか獲物の臭いをかいで
やってきたものだろう
くもはアリにひかれ
僕の視界から消えた
空は変わらず青く
透明に近い風景を絹の糸が流れている
そして何事もなかったように
世界に夕暮れは訪れる
何かを想うか
何も思わないか
それは読む人の自由です