FMを聴きながら連休最終日を過ごしていたら

荒井由実の歌うルージュの伝言が流れてきた

今まで何度となく聴いてきたこの曲

今日は本気で腹立たしい曲となった

 

だってわたくし今朝起きてから「絶対に今日は掃除をしない ゆっくりする」と思っていたのにも関わらず

顔を洗って身支度を整え 甘酒で身体がぽかぽかに温まったと思うやいなや

両手にはたきを携え なにもかもをはたき落とし

松居ぞうきんを手に家中のドアというドアを拭き上げ

踏み台を手にトイレの棚の中を整理して 備蓄を見やすく整え数を管理し

トイレクイックルでトイレの上から下までまたも拭き上げる

今日はノズル掃除もして ドアのヒンジにおいてはつまようじを持ち出すような隅っこのほうまでほじくりだす

洗面所は鏡を磨き上げ這いつくばって床を拭き 風呂のガラリのホコリも全部排除した

鏡の拭き掃除はいつも気を使う 柔らかい布で優しく拭いて傷をつけてしまわないように

ここで終わりだ と思ったのに雨が降るかもしれないということでベランダも掃除をした

雨が降る前にこびりつかないようにホコリを取っておかないと雨の中カシカシこすりまわらないといけない

 

そしてやっと座って果物を食べていたところにルージュの伝言だ

今までなんにも気にならなかったのに 今日は無理だ

あんなに気をつけて鏡を拭いた私には許すまじ この女

完全に私は言いつけられに来られた姑の気分だ

え?なに?ルージュで伝言したった? よし息子 この女と別れろ

鏡に口紅のような油分の多いものを塗りたくるなんて

しかも曲が書かれた時代の口紅なんてラメが入っている可能性が高い

ラメってなにかの欠片ちゃうんか そんなもん鏡にぐりぐりしてきただと?

柔らかい布で優しく拭き上げることに細心の注意を払っている私に対して ええい どうしてくれよう

しかも油分が多いとなると薬剤を使わないと取れない 中性洗剤を使って拭くにしてもラメで傷がつくであろう

ええええい 考えるだけでも腹立たしいわっ 息子よ こんな一時の感情で大切な住まいを傷つけるような女 うちには要らぬ

それでもこの女を娶るというならよろしい お前もろとも私の視界に二度と入るな

なにが叱ってだ なにがマイダーリンだ

私が貴様の額にふっといサインペンで 「肉」 とルージュの伝言ならぬ 姑の遺言を書きなぐらないうちにさっさと立ち去れっ 二度と姿を見せるなっ

 

私は疲れているのだろうか

やっぱり今日は掃除をせずにゆっくりと過ごせばよかったか

 

曲が終わるまでの間ずっと鏡についた口紅の落とし方について考えていた

そしてふと曲が終わったときイソヒヨドリさんが近くで歌うのが聞こえた

そっとカーテンの隙間から覗くときりっとしたイソヒヨドリさんがバルコニーの手すりで歌っていた

あれ?近くで違う歌も聞こえると思ったら 手すりの下にもう一羽のイソヒヨドリさんが

しばらく輪唱に耳をすます ルージュの伝言を聴いていた耳を洗い流すように

 

疲れてはいたものの もしかしたらベランダ掃除をしたおかげでイソヒヨドリさんが来てくれたのかもしれないと思えば

掃除三昧の三連休も悪くない

ただでさえ春はほこりっぽいし 花粉は舞い上がるし 洗い物はすぐに乾く

掃除をすると家がキラキラするから 春の陽射しを家の中でも楽しめるしね

 

さて あとはゆっくりお風呂に入ったらまた明日から頑張ろうっと